チームに合流したヤクルト・中村悠平(撮影・加藤圭祐) 野球日本代表として第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3大会ぶりの世界一に貢献したヤクルト・中村悠平捕手(32)が25日、チームに合流した。埼玉・戸田球場で行われた2軍練習に参加。室内練習場で打撃練習などを行った。
「栗山監督のもと、素晴らしいチームの中で、その一員としてプレーして、結果的に世界一とれて本当に幸せでしたし、僕にとって本当に野球人生においても、かけがえのない大会になりましたね」
中村は米国では準決勝のメキシコ戦、決勝の米国戦で先発マスクをかぶった。特に決勝の九回2死で、エンゼルスで同僚の大谷とトラウトの対決で捕手を務め、スライダーで空振り三振に抑えてウイニングボールをつかんだシーンは多くの人の記憶に刻まれている。
帰国後の記者会見でブルペンでも大谷の球を受けておらず、ぶっつけ本番だったことを明かした中村。「あの試合みんな継投していったじゃないですか。守備が終わってベンチに戻ると、栗山監督が『次誰々いくよ』って伝えてくれるんですよ。六回が終わって次、七回の守備に行くときに、『大勢』って言ったんですよ。七回を。大勢が七回で来るってことは、八回はダルビッシュさん、九回は翔平だよなって。だから、七回ぐらいからソワソワしていました」と当時の思いを明かした。
さらに、ウイニングボールがスライダーになったことについて、2009年の第2回大会のダルビッシュのスライダーに重なるという意見が多いが「あの場の雰囲気と、3―2までいったカウントの組み立て方といろいろな状況を考えて、スライダーが一番ベストな選択じゃないかなと自分で考えて選択した」と明かした。
それまで一度もバッテリーを組んだことはなかったが、大谷が登板した1次ラウンドの中国戦、準々決勝のイタリア戦を映像で確認。女房役だった甲斐(ソフトバンク)にも話を聞いて準備した。ただ、それだけではない。
「先頭バッターに首を振ってスライダーを投げたんですよ。だから、スライダーに自信があるんだなと思って、トラウトの3―2のスライダーまでいった、といういろんな経緯があった。それが全てではないですけど、僕の中でいろんなことがあって最後のスライダー」
WBCを締めくくった最後の6球。「トラウトを打席に迎えた時の最後の6球。あれはもうすさまじかった」と中村。歴史に残る1シーンの裏を明かした。