同点ゴールを決めて駆け出す西村(左)と、その背中を追う三笘。国立競技場に歓声がとどろいた(撮影・蔵賢斗) サッカー・キリンチャレンジ杯(24日、日本1-1ウルグアイ、国立競技場)W杯カタール大会閉幕から3カ月余り、国際サッカー連盟(FIFA)ランキング20位の日本は同16位のウルグアイに1―1で引き分けた。16強入りした大会後初の対外試合は先制を許したが、後半29分に途中出場したMF西村拓真(26)=横浜M=が同点ゴールを決めた。引き続き指揮を執る森保一監督(54)の下、チームは2026年W杯へ向けて再出発した。
ピッチに足を踏み入れてからゴールネットを揺らすまで、わずか34秒。第2次森保ジャパンの初陣で第1号ゴールを決めたのは、国内組から抜てきされたMF西村だ。国立競技場に詰めかけた6万1855人の観衆から万雷の拍手を浴び、胸を張った。
「僕ら新しい選手がギラギラして結果を出して脅かすつもりでやっていかないといけない」
0-1の後半29分。鎌田に代わってトップ下に入ると、右の伊東が縦に抜け出すのを見て、ゴール前へ駆け出した。低いクロスに左足を伸ばし、ファーストタッチで同点ゴールを押し込む。改修して生まれ変わった聖地・国立での代表初ゴールとなった。
昨季J1王者の横浜Mで攻撃の中心を担う26歳。1試合あたりの走行距離は14キロを超えることもあり、昨季も今季も西村がJ1でトップだ。代表戦は国内組で臨んだ昨夏の東アジアE―1選手権以来で、海外組とのプレーは初体験だが「自分の存在価値をどんどん示して、新しい風を起こしたい」と堂々と言い切った。
〝南米の雄〟ウルグアイを相手にドロー。森保監督は「経験の浅い選手は楽しみな未来を見せてくれた」と、手応えを感じ取った。狙いとしたサイドバックの攻撃参加は課題を残したが、DFラインでは代表初先発の菅原、代表デビューの瀬古ら若手が果敢なチャレンジを見せた。
野球日本代表のWBC優勝では、選手を信頼する栗山英樹監督の采配が注目された。親交のある森保監督は「選手を信頼信用し、尊重したいという気持ちは栗山監督に改めて学んだ」と言う。雨の降りしきるピッチに、生き生きと芽吹いた若侍たち。3年半をかけて大きく育てる。(山下幸志朗)