TBS系「ひるおび」(月~金曜前10・25)のキャスターでタレント、恵俊彰(58)が早大大学院スポーツ科学研究科を修了し、26日に早大大隈記念講堂で学位授与式を迎える。「忘れ物の存在に気付いた」と昨年4月、修士課程1年制コースに入学。「残りの人生の役に立つことを勉強したい」と情熱を燃やし、「情報番組がスポーツを伝える役割」をテーマに修士論文を1年かけて作成した。やりがいや苦労を感じながら恵が導き出した答えとは!(ペン・山下伸基、カメラ・斎藤浩一)
「お待たせしました!」。14年間総合司会を務める「ひるおび」の終了後、恵はスタジオ衣装のまま足取りも軽く、爽やかな笑顔で現れた。
平日昼帯のメインキャスターは前身番組も含めると18年半。キー局情報番組の司会歴は現役最長になるが、さらなる探求心を突き動かしたのは何だったのか。
「若い頃はお笑いでのし上がってやるという情熱があったから高卒だった負い目はなかった。ただ、55歳を過ぎた頃、進学校だったのに大学へ行かなかったのは逃げたのかなとか、大学で本を読み、友と語り合うことをやってこなかった寂しさを感じ、経験したいと思ったんです」
昨年一念発起して受験し、合格。キャスターの原点が2002年から8年間、TBS系日曜深夜のスポーツ番組だったこともあり、スポーツジャーナリズムコースを選択した。
「教授から『自分のためになることをやってください』と言われ、残りの人生が20年としてプラスになることはなにか考えたとき、『情報番組がスポーツを伝える役割は何だろう』を追究したいと思いました」
昨年4月、57歳のキャンパスライフが始まった。春は火、水、木曜の午後6~9時半と土曜の午前9時~午後6時、夏は10日に1回、秋は火、水、土曜(時間は春と同じ)と授業に通った。
「『ひるおび』が終わって直行するので、校舎内のコンビニのスペースで宿題のリポートをやっていました。電源があってWi―Fiも使えるから便利。授業はリポートがよかったら発表されるので、そこを目指して頑張りましたね」
修士論文を作成するにあたり、「ひるおび」がスタートした09年から昨年までスポーツを何回取り上げたか調べた。3335回の放送で862回、実に25・8%。
「最多は日大アメフット問題や冬季五輪、サッカーW杯があった18年の48%、最小はコロナ禍の20年でたったの3%。WBCがまさにそうですが、国際大会が多いと取り上げる頻度も多くなる。みんな世界で勝負する日本人を見たいんだと分かりました」
グーグルフォームを使ってアンケートを取る授業ではTBSの報道局、スポーツ局、情報番組スタッフの300人に協力してもらった。「9割が学生スポーツ経験者、うち7割が県大会以上の出場者。スポーツにかかわった人たちがスポーツを伝える側にまわっているんだと実感しましたね」。