四回、2ランを放つ阪神・大山悠輔=京セラドーム(撮影・宮沢宗士郎) (オープン戦、オリックス5-2阪神、24日、京セラ)阪神・大山悠輔内野手(28)がオープン戦1号を放った。目覚めを予感させる音色を響かせ、白球は左中間席に弧を描く。岡田監督も、虎党も、この瞬間を待っていた。沸き返るスタンドを背に、ただ大山だけが表情を崩すことなく悠然とダイヤモンドを一周した。
「相手投手が力強いボールを投げ込んできていたので、そこに振り負けないようにしっかりスイングすることを心がけました」
0-1で迎えた四回一死一塁。快速球でグイグイ押してくる高卒3年目右腕・山下の代名詞ともいえる、149キロ直球を一閃。豪快なフォロースルーから放たれた打球は一時逆転の2ランとなった。
オープン戦出場15試合、60打席目で放った待望の第1号は、2月の春季キャンプ中に行われた紅白戦から数えても86打席目にして放った〝今季初アーチ〟だ。オープン戦は打率・160と不振に苦しんでいる主砲が見せた復調の兆し。31日にDeNAと開幕戦を行う京セラドームで放ったことも大きい。
4連敗となった試合後はチームへの苦言ばかりだった岡田監督も、この一発には「今年一番ええ当たりやろ。なあ」と目を細めた。「流れ的になあ、すごくいいホームランでなあ」。春季キャンプ前から大山の4番固定起用を明言。状態が上がってこないとみるや、個別指導を施すこともあった。「今のチームの中では、あいつらが引っ張っていくしかないわけやんか」。指揮官は行動と言葉で、虎の4番に檄を飛ばし続けてきた。