3月21日(日本時間22日)に第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝が米マイアミで行われ、日本は前回王者の米国に3―2で勝利。2009年大会以来、3大会14年ぶり3度目の優勝を果たした。当地から約1万2300キロ離れた鳴尾浜でも、虎戦士たちが歓喜の瞬間に注目のまなざしを送っていた。
侍ジャパンの最終決戦は、時差の関係で日本時間の午前8時プレーボール。この日、鳴尾浜では午後0時30分からウエスタン・ソフトバンク戦があった。決勝の試合終了はちょうど練習と試合の合間。テレビやスマートフォンで試合を観戦している選手やコーチを見かけた。高寺望夢内野手(20)は移動中、スマホを片手に「見ていますよ」と笑顔だった。八回から登板した森木大智投手(19)も、試合前に世界一奪還の瞬間を見届けた。「いずれ僕も、あの舞台に立てるような選手になりたい」と力強く語った。
試合では2回を完璧に抑え、昨年負った首の張りからの完全復活を感じさせた。日本がWBCで前回優勝した09年はまだ5歳で、野球を始めてもいなかった。その14年間で野球に出会い、プロに上り詰めた2年目のホープは「僕はすごい人たちを昔に見て野球をやりたいと思ったし、あれだけ全国の人が応援してくれている歓声がすごくわかる。それが一番」と改めて野球の良さを感じたという。
今回のWBCでは阪神から選出された湯浅京己投手(23)、中野拓夢内野手(26)が活躍。森木は彼らに加え、自分と1学年しか変わらない高橋宏斗投手(20)=中日=や、年上だが同じ2022年ドラフト1位の大勢投手(23)=巨人=ら若い投手陣の投球に刺激を受けたという。
「(自分にも)可能性があるっていうこと。今のままじゃ、まだまだだと思うので、もっと練習してあの人たちと肩を並べられる選手になりたい」。次回大会は3年後の2026年春に開催予定。チームでの飛躍とその先にある夢の舞台を思い描き、腕を振る。(邨田直人)