世界フィギュアスケート選手権2023ペアSP、演技を終え抱き合う三浦璃来・木原龍一組=22日、さいたまスーパーアリーナ(桐原正道撮影) フィギュアスケート・世界選手権第1日(22日、さいたまスーパーアリーナ)開幕し、ペアのショートプログラム(SP)が行われ、日本勢初の優勝を目指す三浦璃来(りく、21)、木原龍一(30)=木下グループ=組が今季世界最高となる自己ベストの80・72点をマークし、首位に立った。
演技を終えた2人は銀盤の中央に座り、満面の笑みで見つめ合った。三浦、木原組がノーミスの演技を披露し、熱く抱擁。過去に4組しか達していない80点台をたたき出し、首位で発進した。
三浦は「キス・アンド・クライ」で得点を確認すると、立ち上がって小刻みにジャンプ。「びっくり。素直にうれしいなというのが爆発した」と大喜び。木原は「今季は80点台を目標にしていた。最終戦で出せてうれしい」と胸を張った。
4年ぶりの日本開催。日本勢の先陣を切って勝負の銀盤に立ち、埼玉の観客を引き込んだ。2人同時に跳ぶ3回転トーループや木原が三浦の腰をつかんで投げ出すスロー3回転ルッツに成功。息ぴったりにシンクロしたスピンやステップは最高難度のレベル4をマークし、自己ベストを2・47点更新した。前回大会王者で2位の米国ペアには6・08点の差をつけた。
世界一になった野球日本代表の活躍が刺激になった。演技前にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝をテレビ観戦。木原にとっては母校、愛知・中京大中京高の後輩、高橋宏斗投手(中日)も3番手で登板し「知り合いではないけど、心から応援した」。歓喜に沸く侍ジャパンの姿を見て「勇気をもらった。勝手に次は自分たちだと思ってやっていた」とパワーに変えた。
同一シーズンに国際スケート連盟主催の主要3大会を全て制す日本勢初の「年間グランドスラム」に前進。23日のフリーへ、三浦は「後悔をしないようにという思いがある。楽しみたい」。前回大会銀メダルの2人が、侍戦士に続いて世界の頂に立つ。(武田千怜)