世界フィギュアスケート選手権2023女子SP、坂本花織の演技=22日、さいたまスーパーアリーナ(桐原正道撮影) フィギュアスケート・世界選手権第1日(22日、さいたまスーパーアリーナ)開幕し、女子ショートプログラム(SP)は坂本花織(22)が今季世界最高となる79・24点をマークし、トップに立った。日本勢初の2連覇を目指す。グランプリファイナル女王の三原舞依(23)=ともにシスメックス=は3位、渡辺倫果(20)=TOKIOインカラミ・法大=は15位。
派手なガッツポーズはない。演技を終えた坂本は5078人の観客から拍手を浴び、「ふー」と大きく息をついた。前回女王が風格を示すノーミスの舞い。〝因縁〟のある埼玉での世界選手権で今季世界最高得点をたたき出し、安堵した。
「(演技後は)全部できてよかったと、ほっとしていました。今シーズンの中で一番いい演技ができた。楽しく滑れた」
黒の衣装に身を包み、ジャネット・ジャクソンのメドレーに乗った。スピードを緩めずに勢いよく跳ぶ迫力満点のジャンプが魅力。ファンの間で「スピード違反」と称されることもある本領を発揮し、アップテンポな音楽に負けない力強さを見せた。得点源となるフリップ―トーループの連続3回転など3本全てのジャンプに成功。自己ベストへ1・08点に迫る高得点をマークし、2位には5・62点の差をつけた。
ダイナミックなジャンプの原点は中学生時代にある。先生から言われた「勢いよく跳んで減速せずに降りなさい」との言葉がきっかけだ。最初は恐怖を感じたというが、「慣れたら、快感がすごく(ある)。それを試合でやったらどうなるんだろうという好奇心からこういうジャンプが生まれた」。前向きな姿勢が坂本の礎を築いた。
今回と同じさいたまスーパーアリーナで行われた初出場の2019年大会は、SP2位で臨んだフリーでミスが出て5位に転落。「まだ悔しい思いがある」と語るリベンジの舞台で好発進し、日本勢初の2連覇をかけて24日のフリーに挑む。「4年間で成長した部分を見せられるように。スピードを落とさず、バンバン滑っていけたら」。己の武器を信じ、世界女王へ突き進む。(武田千怜)