清原は二回、甲子園初打席で安打を放った(撮影・渡辺大樹) 第95回選抜高校野球大会第4日(21日、甲子園)2回戦3試合が行われ、5年ぶり出場の慶応(神奈川)が夏春連覇を目指す仙台育英(宮城)に延長十回、1-2でサヨナラ負け。清原勝児内野手(2年)は父・和博氏(55)が生観戦する中、二回に初打席で左前打を放つなど、5打数1安打だった。能代松陽(秋田)は21世紀枠で初出場の石橋(栃木)に3-0で選抜初勝利。龍谷大平安(京都)は4-3で長崎日大に逆転勝ちした。
息子の勝児に安打が飛び出すと、甲子園で見守った清原氏はガッツポーズして喜んだ(撮影・榎本雅弘)今大会初の延長タイブレークに入った十回2死満塁、カウント1-2。慶応・清原のバットは外角スライダーに空を斬った。チャンスを逸し、バットを地面にたたきつけて悔しがった。
「1本出なくて自分のせいで負けた。悔しくて申し訳ない気持ちです…。力不足でした」
西武、巨人、オリックスで通算525本塁打の父、和博氏がバックネット裏席最後方で観戦していた。家族全員から「堂々と胸張って頑張れ」と送り出された次男は5打数1安打2三振。チームはサヨナラ負けを喫し、肩を落とした。
しっかりとスターのDNAは受け継いでいた。二回無死の初打席。「5番・清原」がコールされると、今大会最多の2万4000人が駆けつけたスタンドからは大きな拍手が降り注いだ。2球目の直球を強振して、痛烈な左前打。左翼手のファンブルで一気に二塁も陥れ、ど派手なガッツポーズも披露した。
PL学園(大阪)で甲子園通算13本塁打を放った父の初安打は1年夏の3回戦(対東海大一)。9打席目だった。息子は父を8打席も上回った。
勝児の好きな言葉は「コツコツが勝つコツ」。甲子園のデビュー戦でチームを勝利に導くことはできなかったが、確かな足跡は残した。「(父は)偉大だと思っています。絶対にこの場所に帰ってきて、仙台育英を倒す」。真っすぐな瞳で今夏の甲子園での雪辱を誓った。(山口泰弘)