【WBC2023 準決勝】9回、サヨナラ勝利に喜びを爆発させる村上宗隆(中央左)、大谷翔平(同右)ら侍ジャパンナイン=米フロリダ州マイアミのローンデポ・パーク(撮影・長尾みなみ) ■3月22日 ベーブ・ルースやルー・ゲーリッグら球史に残る米大リーグ選抜チームが来日したのは1934年秋だった。18試合した日本チームは全く歯が立たず子供扱い。助監督兼右翼手のフランク・オドールは全く打球が飛んでこないので時折グラウンドに寝転がるパフォーマンスを見せ、観客は「バカにするな」と怒ったとか。
それから90年近く。WBC決勝という最高の舞台で〝本家〟米国代表と雌雄を決するときがきた。圧勝続きの1次リーグとは全く違う野球をみるようなメキシコとの準決勝。八回に2点リードされたときは今回もここで散るのかと覚悟を決めたが、さすがに侍ジャパン。絵に描いたような逆転サヨナラ勝ちだった。
この勢いをぶつけたい決勝だが、一足先に進出を決めているオールスター級の米国も強い。準決勝は9番打者ターナー(フィリーズ)の2本塁打など大会6戦目で最多の14得点でキューバを粉砕した。しかも連戦となる日本に対し1日休養が取れる。米国が有利になるよう途中で日程をいじったのもうなずける。
何はともあれ、ここまできたら世界一あるのみ。九回、先頭打者として二塁打を放ち逆転の口火を切った大谷は「最高の舞台で最高の相手。必ず勝つんだという強い気持ちでいきたい」。展開次第ではDHからのリリーフの可能性にも触れた。「みんな目いっぱい身を粉にして頑張っている。そういう展開になれば」。
ライトで寝転んだオドールは実は日本の野球指導に熱心で大日本東京野球倶楽部(巨人軍)創設にも尽力した球界の恩人でもある。大谷も吉田も村上も、長打を打ちまくり米国の外野手を休む間もなく走り回らせることで恩返しといきたい。(今村忠)