本紙専属評論家の江本孟紀氏(75)がまたまた独自の視点を披露した。阪神からアスレチックスへ移籍した藤浪晋太郎投手(28)が、日本とメジャーの力関係を変える存在になるかもしれないという。まずは聞いてみましょう。(構成・内井義隆)
--この時期に藤浪を取り上げるというのは…
「大相撲も、センバツ高校野球も、そして国内のプロ野球をも片隅に追いやるほど、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の話題が猛威をふるっている」
--ですから…
「そこにはあえて背を向けて(笑)。実はこれから3年ぶりに渡米して、WBCが行われるフロリダ州ではなく、アリゾナ州でメジャーを視察してくる。そこでどうしても気になるのが、藤浪のことなんだ」
--そうでしたか
「メジャーへ移籍する日本の選手はその直近、何年か好成績を挙げて、さあいよいよ本場へ、というのが普通のコース。NPB(日本プロ野球機構)経験のない選手はもちろんのこと、NPBで鳴かず飛ばずだった選手が、メジャーで大成功した例はない」
--ありません
「藤浪はどうか。ここ4年間でわずか7勝。現状で、どちらかといえば、後者のケースに当てはまるわな」
--はい
「そういう選手がメジャーで活躍するようになって初めて、日米は対等になったといえる。ゆくゆくは、NPBを経由しないでメジャーで成功する選手も、出てくるようになるだろう。エモトはそう考えている」
--なるほど
「したがって、藤浪が生き返るのか、それとも引導を渡されるのか…。その答えは日本の球界にとっても、大きな意味を持つわけだ」
--わかります
「プロ入り当初は10勝、11勝、14勝と3年連増で2ケタ勝利をマークしていた。もともとの力はある。現地での画像を見る限り、まだ四球グセ、すっぽ抜けグセは直っていないけど…」
--あらら
「とにかく、この目で見て、耳で聞いて、藤浪をチェックしたいね。さてどうなるか。後日、リポートするよ」