第48期棋王戦5番勝負第4局を終え、大盤解説会場で対局を振り返る藤井聡太新棋王(右)と渡辺明前棋王=19日午後、栃木県日光市の日光きぬ川スパホテル三日月 将棋の渡辺明棋王=名人との二冠=(38)に藤井聡太五冠=竜王・王位・叡王・王将・棋聖=(20)が挑んだ第48期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社主催、協賛社・大塚製薬)5番勝負第4局は19日、栃木県日光市の日光きぬ川スパホテル三日月で指され、132手で後手の藤井五冠が勝ち、3勝1敗で棋王を初獲得し、六冠となった。20歳8カ月の六冠は最年少で羽生善治九段(52)に続き2人目。
八大タイトルのうち六つを獲得し、全冠制覇が現実味を帯びてきた。タイトル同時保持の最多は羽生九段が1996年、7タイトル時代に達成した全七冠。これまで、六冠の最年少は羽生九段が94年に樹立した24歳2カ月だった。
残るは名人と王座のタイトル。4月5、6日に開幕する名人戦7番勝負は渡辺名人への挑戦を決めている。例年9、10月に5番勝負が行われる王座戦では初挑戦を目指す。
藤井新棋王は通算タイトル獲得数を13期とし、歴代7位の佐藤康光九段(53)と並んだ。タイトル戦の出場は13度目となり、これまで失敗なく全て制している。これで2022年度の全対局を終了し、53勝11敗(勝率8割2分8厘)で勝利数は4年連続で首位、勝率は6年連続で8割以上となった。
◆渡辺明前棋王の話「(本局は)駒損の分だけつらかった。負けても、少しはチャンスがある将棋にしないと結果がついてこない」
◆藤井聡太新棋王の話「4局とも角換わり(の戦型)で非常に難しい将棋ばかりだった。しっかり振り返って、次につなげていけたらと思う」
◆藤井新棋王の師匠、杉本昌隆八段の話「棋王戦はその昔、大師匠の(故)板谷進九段が当時の名人を含めた歴代の3人の名人(故大山康晴15世名人、中原誠16世名人、谷川浩司17世名人)に勝ち、挑戦者決定戦では敗れた心残りのある棋戦です。今回の孫弟子の快挙を喜んでおられることでしょう。さらなる活躍を期待しています」
◆日本将棋連盟・佐藤康光会長の話「毎年度8割を超える勝率で実績を積み重ねられる素晴らしい活躍ですが、2022年度の強敵を連破し続けての結果は20歳という若さと思えないすごみを感じます。さらなる高みを目指されることを期待します」
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