準決勝の先発が有力視される佐々木朗は、キャッチボールなどで調整した(撮影・水島啓輔) 【マイアミ(米フロリダ州)17日(日本時間18日)】第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の佐々木朗希投手(21)=ロッテ=が当地で初練習し、先発が有力視される20日(日本時間21日午前8時開始)のメキシコとの準決勝に備えた。13時間超に及んだ日本からの空路移動の疲れの色を見せず、時差対策も上々。準々決勝で敵情視察した「令和の怪物」が、満を持して全米デビューを飾る。
陽気な雰囲気に誘われ、自然と心が弾んだ。晴れ渡る青空の下で穏やかな笑顔が映える。決戦の地に降り立った佐々木朗に緊張感はなかった。
「暖かいなと。湿度も高いし、気持ちいいなと思います」
「中南米の首都」とも呼ばれるマイアミ。キューバを中心にラテン系の移民が多く、米国有数のリゾート地としても知られる。この日の早朝に到着した右腕は、昼から早速始動した。気温26度超。半袖にハーフパンツ姿で、帽子を後ろ向きにかぶってキャッチボールを行った。
17日未明に日本を出発。チャーター機でのフライトは13時間超に及んだ。それでも「順調に来ています」と疲労の色を見せなかった。日本と13時間ある時差に適応するため、機内で対策を講じた。海外遠征の経験に乏しい21歳を支えたのは、百戦錬磨のダルビッシュだった。
佐々木朗はチーム最年長の36歳から睡眠の質に関わるホルモン、メラトニンの分泌を促すグミをもらい、それを食べて機内でぐっすり。「よく寝られました」と笑みを浮かべ、ダルビッシュは自身の音声配信アプリで「口を開けて爆睡していた。めっちゃ効いているやんと思った」と笑った。
佐々木朗は練習後に村上、岡本和らとローンデポ・パークを訪れ、メキシコがプエルトリコを破った準々決勝を視察した。先発が有力な準決勝の相手となるメキシコ打線には、2021年にア・リーグ新人王に輝いたアロザレーナ(レイズ)、昨季35本塁打を放ったテレス(ブルワーズ)ら大リーガーが名を連ねる。
「しっかり映像を見ながら勉強していきたい。一番は自分のパフォーマンスを出すこと。そのために、いい状態で臨めるようにしたい」。ついに全米デビューを飾る「令和の怪物」が、メジャーリーガーに真っ向勝負を挑む。(鈴木智紘)
★由伸救援待機も 山本(オリックス)が準決勝で救援登板する可能性が出てきた。決勝進出時の先発が有力視されていたが、戦況により温存することなく、目前の一戦を取りに行く。プロ2年目は54試合に登板するなど、救援の経験がある右腕は一部選手による練習に参加し、長めのキャッチボールで調整。「この時期、半袖、半ズボンで練習できましたし、暖かくて気持ちいいですね」とリラックスした表情で話した。山本が準決勝に登板した場合、ダルビッシュが決勝の先発の筆頭候補に挙がる。「皆でリラックスして準決勝へ集中して調整できたらいい」と話していたチーム最年長右腕が、最後まで投手陣の中心となる。