デビュー40周年を迎えたハイヒール。吉本総合芸能学院(NSC)1期生として、同期のダウンタウンらとともに駆け抜けてきた。関西で2人でレギュラー8本を抱える売れっ子が、こだわるのは舞台での漫才。芸歴を重ねて女性芸人の地位を考えるトップランナー、リンゴとモモコが描く未来図に迫った。(取材・大澤謙一郎、撮影・榎本雅弘)
女子大生と元スケバン。奇想天外な組み合わせで、瞬く間に人気者になったハイヒールが、デビュー40周年を迎える。関西ではテレビ、ラジオ各局で40周年特番が組まれている。令和の世になっても、売れっ子ぶりは変わらずだ。
モモコは「漫才師って同い年にみられがちだけど、(リンゴは)私からしたら3つ上なのでお姉さんみたいな感じ」と話す。NSCに入ってから、会社の引き合わせでコンビを結成した。印象は互いに「最悪だった」と口をそろえるが、息はばっちり。当時芸人のマネジャーだった大﨑洋現会長からアドバイスを受けて上がったNSCの文化祭での漫才がウケにウケた。リンゴは「それで今に至るって感じ。もともと友達じゃなかった。それが大きいかな。お互いに過干渉しない。2人でハイヒール商店を共同経営してきたという感じ」と振り返る。その勢いでNSCから誕生した女性漫才コンビ1号になった。
1期生にはダウンタウン、トミーズらがいた。リンゴは「すごいのがいるという感じだった。一生懸命やって、一緒によく遊んでいました。個性があった。団結もしてました。初めてのことだったので、何も教えられずにいきなり劇場でしたから」と横のつながりが支えにもなった。女性漫才師では当時、今いくよ・くるよ、若井小づえ・みどりが活躍していた。リンゴには先輩たちから掛けられた、忘れられない言葉がある。
「私らの時代はあきらめたけど、アンタらの時代は結婚しいや」
リンゴもモモコも結婚し、お互い家庭と仕事を両立しながら駆け抜けてきた。
「だから女コンビでも長続きしたんだと思います」とモモコ。私生活も大切にしてきた。すると吉本に対する世間の見方が徐々に変わっていくのを感じたという。
この記事をシェアする