ライバルに並ばれようが、自分だけを見つめ、足を止めることなくここまできた。阪神・木浪聖也内野手(28)が実戦で躍動するたびに、2月の春季キャンプ中に語ってくれた悲壮な覚悟を思い出す。
「自分はもうレギュラーという立場ではない。とにかくやるしかない。試すとかそういう言葉はなくて、とにかく実戦でやるしかないと思っています」
遊撃手としてルーキーイヤーから3年連続で開幕スタメンに名を連ねて迎えた2022年シーズン。木浪の名前が開幕戦のスタメンにコールされることはなかった。左足首の負傷もあって、同年は自己ワーストの41試合の出場に終わる。築き上げてきた地位がもうないことは、木浪自身がよく分かっていた。
再びレギュラーに返り咲く-。並々ならぬ覚悟を持って臨んだ2月の沖縄・宜野座春季キャンプ。昨年の遊撃手・中野の二塁コンバートにともない、木浪は小幡とともに正遊撃手の筆頭候補に挙げられた。
1月にソフトバンク・近藤と合同自主トレを行い、磨き上げてきた〝打球の質〟。変化を指揮官に誇示するように、初実戦となった2月11日の紅白戦(宜野座)の第1打席で右翼席に2ラン。進化した打棒はとどまることを知らず、2月の実戦は打率・421(19打数8安打)と打ちまくる。同・143(21打数3安打)だった小幡に大きく差をつけ、キャンプ最終日には岡田監督に「木浪が一歩リード」と評価をもらった。
「開幕前の大事なオープン戦でアピールすることももちろんですけど、内容にこだわってやっていきたい」
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