大谷の一球から世界一への挑戦が始まった(撮影・長尾みなみ) 「カーネクスト 2023ワールド・ベースボール・クラシック東京プール」は9日、東京ドームで1次リーグB組が開幕し、3大会ぶりの世界一を目指す日本は中国に8―1で快勝し、白星発進した。大谷翔平投手(28)=エンゼルス=が「3番・投手兼DH」で先発出場し、投げては最速160キロを連発して4回1安打無失点で勝利投手となり、打っては2点二塁打を含む2安打。日本では日本ハム時代の2017年10月4日以来、1982日ぶりの投打二刀流で真骨頂を見せた。
世界が登場を待ちわびた主役の躍動に、歓声の波が渦巻いた。大谷劇場の幕開けだ。華々しく船出を飾り、投打同時出場の「リアル二刀流」のすごみを見せつけた。
「ゼロで抑えることを考えていた。序盤から重たいゲームだったけど、何とか打線がつながって勝つことができた」
初出場のWBCで務めた開幕投手。「重要な一戦は大谷翔平から行きたい」と栗山監督から送り出された。投手としての今季の実戦は、日本時間1日に先発した米国での1度のみ。それでも最速160キロを四回に連発し、4万1616人の観衆をどよめかせた。球速帯の異なる鋭いスライダーを多投し、格下の中国相手に三回まで一人の走者も許さず。4回49球を投げて1安打無失点、5奪三振の好投だった。
二刀流の真骨頂はここからだ。1点リードの四回1死一、三塁で迎えた第3打席。外角低めのツーシームを捉え、左中間フェンス直撃の2点二塁打を放った。試合が硬直した場面で飛び出した価値ある一打。チームに浸透するコショウをひくしぐさを模した「ペッパーミル・パフォーマンス」を塁上で決め、ナインを盛り上げた。