侍ジャパン・高橋奎二(左)はダルビッシュ有と貴重な時間を過ごした=ひなた宮崎県総合運動公園(撮影・水島啓輔) WBC日本代表強化合宿(22日、宮崎)ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む日本代表は宮崎合宿の第2クール2日目を終えた。先発の後を受けて登板する第2先発として期待される高橋奎二投手(25)=ヤクルト=が、ダルビッシュ有投手(36)=パドレス=と初めてキャッチボール。先輩にチェンジアップの投げ方を教えるなどして交流し「夢のよう」と目を輝かせた。
青空の下、2人だけの特別レッスンが開かれた。時間にして約10分。興味津々で聞いてくる先輩の熱意に応えようと、高橋奎は身ぶり手ぶりを交えて丁寧に、宝刀を操る極意を伝えた。
「自分のチェンジアップを試してもらったことはすごくうれしい。なおかつ(変化球が得意なダルビッシュさんから)難しいと言ってもらえた」
ダルビッシュから誘いを受けてキャッチボールを始め、終盤に変化球を教え合った。先輩右腕から投げ方を聞かれたのはスクリューのような独特な変化をするチェンジアップ。左腕は「抜くというよりひねる感じ」と説明した。2年目の2017年のキャンプで、当時2軍監督のヤクルト・高津監督から習得を指示された球種。「シンカーみたいに横回転(の球)を投げるんだ」と助言を仰ぎ、磨いてきた宝刀だ。
侍ジャパン・高橋奎二(右)からボールを受け取るダルビッシュ有(撮影・渋井君夫)握りや投げ方のコツを伝えた上で、横回転をかけながら山なりのボールを投げる練習を2人で実践。多彩な変化球を変幻自在に操るダルビッシュでさえも「難しい」と苦笑い。高橋奎は「人それぞれ肘の使い方とか、手首の使い方は違うと思うので」と語った。
日米通算188勝と実績豊富なメジャーリーガーに教えただけでなく、高橋奎は持ち球になかった縦変化のスライダーを教わった。普段では味わえない時間を過ごし「夢のよう」と、ご満悦の様子。昨季、先発でキャリアハイの8勝(2敗)を挙げた25歳にとっては、この野球談議をさらなるレベルアップのきっかけにしたい。
「いつか、ああいう立場の選手になりたい。今はいろんなことを学んで何か一つでも吸収してやっていきたい」
初出場となるWBCでは、先発投手の後を受けて登板する第2先発としての起用が有力。ソフトバンクとの壮行試合(宮崎)は、26日に山本に次ぐ2番手として2イニングを投げる。サウスポーは1分1秒も無駄にしない。決戦まで吸収し続け、爆発の時を待つ。(織原祥平)