桐敷(右)に一発をお見舞いしたミエセスはシート打撃後にアドバイス。落ち込ませないでくれヨ~ 虎番で野手を担当する原田遼太郎からすれば、そこまでの驚きはなかったらしい。途中までは。
「ノイジーは普段のフリー打撃でも、最後のひと振りはホームランで締めるんですよ。きれいに広角に打つ姿が目立っていましたけど『打とうと思えば、いつでも大きな当たりを打てるんだろうな』とは思っていました」
記者としては、キャンプ初の実戦形式となったシート打撃で新助っ人が打席に立ってくれるだけでも、見どころや書きどころが増えてうれしいものだ。そこで初アーチまで架けてくれたものだから、原田は喜び勇んで速報の執筆に取りかかった。虎ソナ班には考えられないことだが〝今どきの記者〟はパソコンを開かず、スタンドに座ったまま器用にスマートフォンを操作し、ポンポンと入力してポン! と送稿できてしまうらしい。ところが、そんな原田を予想外の事態が襲う…。
「本当に打ったなぁ、佐藤(輝)と肘タッチをしたなぁ…とノイジーの動きをチェックして、さぁ速報の作業をしようと思っていたら『パカーン!』と…」
さすがにミエセスまで続くとは思わず、ハッと見上げたときには弾丸ライナーがスタンドに突き刺さっていた。そこからはもう、社内も巻き込んで大騒ぎだ。キャンプ中継のテレビにかじりついていた当番デスクの阿部祐亮は万々歳。「盆と正月がいっぺんに来たような感じですよ! 優勝間違いナシ!! こんなに早く優勝を確信したのは初めてかもしれない…」と声を震わせていた。
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