東京オリンピック・パラリンピック組織委大会運営局元次長の森泰夫容疑者 東京五輪・パラリンピックのテスト大会を巡る入札談合事件で 東京地検特捜部は8日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで大会組織委員会の大会運営局元次長の森泰夫容疑者を逮捕した。関係者への取材で分かった。同日中に数人を逮捕する方針で、森容疑者が受注調整で主導的な役割を担ったと判断した。広告最大手電通側も立件する方針。特捜部は8日、川崎市にある森容疑者宅、東京都内の電通関係者宅を家宅捜索した。
関係者によると、 森容疑者は電通から組織委への出向者、電通本体の幹部らとともに競技ごとに企業を割り振った一覧表を使い、受注調整を進めた。企業側とメールでやりとりし、応札希望を伝えた社に対し、これまでの実績から「難しいのではないか」と返信したこともあった。特捜部は競争を制限したとみて、公正取引委員会と連携して実態解明を進める。
森容疑者は特捜部の事情聴取に対し、当初は談合の認識を否定。企業側の意向は聞いたが、応札を拘束する割り振りはしていないと主張していた。だが電通関係者が談合を認めたことが影響し、最近になり同様に認める供述を始めていた。
周囲には、全ての競技で担当企業を確保できるかどうか懸念を抱いたと話していた。
受注調整の疑いがあるのはテスト大会の計画立案業務などの入札。2018年5~8月に競技会場1~2カ所ずつ26件実施され、電通や博報堂など9社と一つの共同企業体が落札した。26件のうちほぼ半数が1社しか応札せず、契約総額は約5億3800万円だった。その後、落札側はテスト大会や本大会の運営を計約400億円の随意契約で受注した。特捜部は随意契約分も立件対象とすることを検討している。
特捜部と公取委は昨年11月25日、 森容疑者の自宅や電通を捜索。その後も博報堂など落札企業側を捜索し、捜査を進めてきた。
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