プロボクシング東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック(AP)ライト級王者で、WBC世界同級5位の吉野修一郎(31)=三迫=が7日、東京・練馬区の三迫ジムで会見。元世界2階級制覇王者で、同級3位のシャクル・スティーブンソン(25)=米国=と闘うWBC世界同級挑戦者決定戦(4月8日=日本時間9日、米ニュージャージー州ニューアーク、プルデンシャル・センター)への意気込みを示した。
「率直にうれしい。米国でずっと試合をしたいと思っていた。勝てば世界王座に王手がかかる。その先に4団体統一王者とやると思っている」。好きな色である紫色のセットアップで会見に臨んだ吉野は、念願の米国進出が決まり武者震いした。
昨年4月にさいたまスーパーアリーナで、元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪(横浜光)に3-0で11回負傷判定勝ち。東洋太平洋、WBOAP王座ともに2度目の防衛を果たした。11月に同会場で、WBOAP同級タイトルマッチとして前東洋太平洋同級王者の中谷正義(帝拳)に6回TKO勝ち。3度目の防衛に成功した。今回がプロ初の海外での試合となる。4日(同5日)に主催の米興行大手トップランクが発表。米国ではスポーツ専門局ESPNで全米生放送される。
2016年リオデジャネイロ五輪バンタム級銀メダリストのスティーブンソンは17年4月にプロデビューし、19年10月に空位のWBO世界フェザー級王座、21年6月に空位のWBO世界スーパーフェザー級暫定王座を獲得。同10月に正規王者だったジャメル・ヘリング(米国)に10回TKO勝ちして団体内王座を統一すると、昨年4月にWBC王者だったオスカル・バルデス(メキシコ)に3-0で12回判定勝ちして2団体統一王者となった。9月の初防衛戦の前日計量で体重超過し、両王座を剝奪されたが試合は行われ、リオ五輪ライト級金メダルのホブソン・コンセイサン(ブラジル)に3-0で12回判定勝ちした。今回がライト級初戦となる。
スティーブンソンは高いディフェンス力と手数の多い攻撃で相手を圧倒する技巧派。プロ50戦50勝(27KO)の元世界5階級制覇王者、フロイド・メイウェザー(米国)にも技術力を認められており、「サウスポー版メイウェザー」や「ネクスト・メイウェザー」と呼ばれるスーパースター候補だ。吉野より上位にランクしていた3選手が対戦を断り、吉野にチャンスが回ってきた。吉野は昨年12月にオファーが届いた際には「やりたいです」と即決。「勝てば有名人になれると思う」とアメリカン・ドリームを思い描いた。
スティーブンソンはニューアーク出身で、吉野は完全アウェーでの一戦となる。「判定では厳しいと思う。TKOかKOで勝つしかない。体格やパワーでは勝ると思う。相手の嫌なことをしながら闘う。心を折りにいく」と決意を示した。プロでは初めてサウスポーと対戦する。サウスポーは「苦手でも得意でもなく普通」と話し、今後はアマチュア通算10冠でプロ2戦2勝(2KO)の今永虎雅(たいが、23)=大橋=ら、国内のサウスポーとスパーリングを重ねていく。
勝者は5月20日に開催されることが有力な4団体世界ライト級統一王者のデビン・ヘイニー(24)=米国=と、元世界3階級制覇王者で、WBC1位のワシル・ロマチェンコ(34)=ウクライナ=の勝者への挑戦権を得る。「ヘイニーともやりたいし、ロマチェンコともやりたい。スティーブンソンに勝って、次にどちらか勝った方とやりたい」と、世界的に層の厚いライト級の頂点を見据えた。
プロ戦績は吉野が16戦16勝(12KO)、スティーブンソンが19戦19勝(9KO)。
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