藤浪は鳴尾浜で国内での自主トレを打ち上げた。いよいよ渡米だ 若虎よ、阪神を〝感じろ〟! 阪神からポスティングシステムを利用して米大リーグ・アスレチックスに移籍が決まった藤浪晋太郎投手(28)が6日、鳴尾浜で国内での自主トレを打ち上げた。きょう7日の渡米を前に10年間、苦楽をともにしたグラウンドに別れを告げた。後輩に向けて、超人気球団だからこそ感じられるプレッシャーや喜びを存分に感じてプレーしてほしい―とエールを送った。
テレビ画面越しに見る沖縄の春季キャンプ。タテジマの自分は、もうそこにいない。それでも、挑戦の道を選んだ藤浪に感傷はなかった。陽だまりの鳴尾浜で、後輩たちに惜別の言葉を残した。
「うーん…特殊な球団なので。歴史も球団もファンも、他球団とは違うと思う。大変な面も多いけど、タイガースでしかできない経験も多い。普通に(チームの)中にいると感じることはないと思うんですけど、やっぱりすごい。それを感じるように、意識しながらプレーしてもらえたら」
2013年に大阪桐蔭高からD1位で入団。1年目から3年連続で2桁勝利を挙げたが、16年以降は制球難に苦しみ、2軍暮らしや中継ぎ転向も経験した。いいときも、苦しいときも、どんな一瞬にも最大級の注目が集まった。それが虎戦士の運命。もちろん、悪いことばかりではなかった。1軍で1試合しか登板しなかった19年8月1日の中日戦(甲子園)。制球に苦しんで4回⅓を1失点で降板したが、久々に1軍に戻ってきた自身に降り注いだ温かな声援と拍手は忘れ得ぬ記憶だ。
「振り返ってみると、早かったですね」
虎で過ごした10年間。伝統があり、プレッシャーがあり、アツいファンに囲まれた球団は他にない。そんな幸せを、存分に〝感じて〟ほしい。
これからは西宮市から8650キロ離れた米カリフォルニア州・オークランドが本拠地。渡米直前まで調整の場を提供してくれた球団にも、感謝の言葉を忘れなかった。
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