元ヤクルト監督の古田敦也臨時コーチ(左)は高橋奎二を指導=沖縄県浦添市(撮影・今野顕) 元ヤクルト監督の古田敦也氏(57)が6日、ヤクルトの沖縄・浦添キャンプで臨時コーチの初日を迎えた。ブルペンで投球を受けるとともに、昨季ブレークした若手が〝2年目のジンクス〟を打破するために叱咤(しった)激励のメッセージを送った。
球団初のリーグ3連覇へ、黄金期を支えた正捕手が常勝軍団の心得をたたきこむ。3年連続で臨時コーチとして招かれた古田氏が、初日から献身的に指導を行った。
「若い投手がそれなりに経験を(積めて)、この2年、良かったことはあると思う。ただ、今度は相手が必死に研究してくる。研究された中で結果を残すことで一枚でも上(のレベル)に(達してほしい)。常に成長し合うつもりでやってくれたら上位にはいける」
午前8時45分に球場入り。選手がウオーミングアップとキャッチボールが終えると、古田氏は捕手の防具を着けてブルペンへ。大商大から入団4年目の右腕、大西とWBC日本代表に初めて選出された高橋の球を受け、熱心に助言を送った。
大西広樹(右)を指導する古田敦也臨時コーチ(撮影・今野顕)〝身をもって〟危機感を呈した。古田氏は高津監督のホワイトソックス時代の活躍をたたえた記念Tシャツを着て登場。『MR.ZERO』(ミスターゼロ)と記された一枚に、若手選手への激励が込められていた。
「高津監督はメジャー(リーグ)に挑戦してミスターゼロと呼ばれた。そういうことを伝えるのと、2年目は研究されて打たれた。〝相手が研究してくるから2年目は気をつけろ〟と伝えたいなと、着てきました」
高津監督はホワイトソックス1年目の2004年、登板59試合で6勝4敗19セーブ、防御率2・31。4月下旬から6月下旬まで24試合連続無失点を記録し、「ミスターゼロ」の異名を取った。だが翌年は登板31試合で1勝2敗8セーブ、防御率5・97。8月に自由契約となり、メッツへ。新天地では登板9試合で防御率2・35と持ち直したものの、いわゆる〝2年目のジンクス〟に陥った。
ヤクルトは昨季、高橋が8勝、救援の木沢も9勝と、それぞれ自己最多の白星を挙げた。野手では長岡が正遊撃手の座を勝ち取り、捕手の内山が74試合に出場。多くの若手が台頭したからこそ、今季が重要だと説いた。
古田氏の指導は12日まで続く。「(昨季の日本シリーズで)オリックスに負けたし、また新たな思いで今年を迎えると思う。僕の担当はバッテリー。バッテリーで勝つことを伝えていきたい」と力を込めた。(箭内桃子)
◆昨年のキャンプで古田氏にシュートを教わり、シーズンで自己最多の43試合に登板(防御率4・45)したヤクルト・大西 「昨年はシュートをしっかり投げられた。抜き球(チェンジアップ)は精度がまだ。練習していきたい」
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