2月6日で2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪開幕まで3年。1976年インスブルック冬季五輪のフィギュアスケート男子日本代表、佐野稔氏(67)が次回大会は男女ともハイレベルなジャンプが鍵になると予想した。14年ソチ、18年平昌両五輪で金メダルに輝いた羽生結弦さんが昨年の北京大会を最後に競技会からの引退を表明。男子の宇野昌磨(25)=トヨタ自動車、女子の坂本花織(22)=シスメックス=ら現役のトップ選手に続く若手を紹介する。(取材構成・角かずみ)
★マリニンを追え!4回転アクセルが男子の鍵 3年後、男子フィギュア界の中心にいるのは、既に4回転アクセル(4回転半ジャンプ、4A)を武器とするイリア・マリニン(米国)だろう。その対抗馬として挙げられるのが、佐藤駿(明大)、鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)、三浦佳生(かお、オリエンタルバイオ・目黒日大高)の3人だ。
3年後は4選手とも20台前半。22年に競技会からの引退を表明した羽生結弦さんはソチが19歳、平昌は23歳だった。フィギュアでは20-25歳が最も脂が乗ってくるときで、ちょうどおいしい時期に五輪を迎える。
ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪での鍵は、やはり4A。現在のルールでは男子ショートプログラム(SP)で4Aを跳ぶことができないため、マリニンは苦手とする3回転アクセル(3回転半ジャンプ、3A)を跳ばざるを得ず、SPで出遅れることが多い。また、演技面ではまだジュニアの域から出ていないのが課題。ただ、全6種類の4回転ジャンプが跳べるため、フリーでの爆発力はすさまじい。
佐藤は、4A以外の4回転ジャンプを跳べる技術力があり、演技点も伸びてきた。あとはプログラムの中で4回転ジャンプの成功確率をどう上げるか。鍵山は演技点は高いが、まだ4回転ジャンプが3種類にとどまる。三浦は思い切りの良さが武器で、見ている人を高揚させる演技が特徴。一方で、鍵山同様、跳べる4回転ジャンプの種類が少ない。
マリニンが昨年9月に世界で初めて4Aを成功させたことで、男子のレベルは一層高くなった。あと3年で4回転ジャンプの種類を増やすことはもちろん、4Aをものにすることができるか。表彰台の中央に立つには、「王様のジャンプ」とも呼ばれるアクセルジャンプがポイントになるだろう。
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