日本学生新記録となる2時間7分47秒でゴールする、4位の横田俊吾=ジェイリーススタジアム(共同) ■2月7日 右腕を卓球のスマッシュのように大きく振ることで、ついたあだ名が「横卓球」。6日の別府大分マラソンでひと際目を引いたのが横田俊吾(青学大)だ。終盤外国人を追う日本勢グループから一度は遅れたが、踏ん張って日本人2位。2時間7分47秒は20年ぶりの日本学生新記録だった。
新潟県出身で同じ青学大4年の岸本大紀と同郷。中学からのライバル同士で箱根駅伝ではエース格の岸本は1年から活躍したが、横田は4年の今年、3区でようやく初出場(区間8位)を果たした。それから約1カ月後の力走。卒業後はJR東日本に進む横田は「100点満点。大学生活はムダではなかった」と振り返った。
それにしても個性満点の腕振り。スピードに特化した練習法にひかれて進学した学法石川高(福島)時代の恩師松田和宏監督は言う。「あれで肩甲骨がバランスよく動き、推進力が生まれる。中学時代の国体ではラストスパートの競り合いで腕振りが大きすぎ進路妨害の失格になったほど。スピードが出るほど振りが大きくなる」。
これで10月のパリ五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC)の出場権も獲得した。かつては箱根が最大の目標で実業団に進んでもいつの間にか消えてしまう「燃え尽き症候群」も多かったが、最近は五輪のマラソン代表はほぼ箱根出身者が占めている。
日本陸連マラソン強化責任者の瀬古利彦氏は「箱根の不完全燃焼分を取り返すような走り。あの腕振りはリズムに合っているようだ。マラソンはリズム。彼にも『箱根から世界へ』を目指してほしい」と期待を込めた。一発勝負のMGCで、ここぞのスマッシュを決められるか。(今村忠)
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