ロッテは沖縄・石垣島キャンプを翌日に控えた1月31日、参加する全選手を集め、室内練習場でミーティングを開いた。
プロ野球の正月といわれる2月1日を前に、今季のチームの方針を示す大事な〝ファーストミーティング〟。就任1年目の吉井理人監督(57)は、相対性理論で知られる物理学者、アインシュタインの言葉を引用して、熱弁した。
「何かを学ぶには、自分で体験する以上にいい方法はない」
現役時代、投手として近鉄、ヤクルトで活躍した後、米大リーグ(メッツ)に挑戦した吉井監督は、中学生の頃から「いろんなことに使える言葉が多い」と〝アインシュタインの考え〟に感銘を受けてきた。引退後は、筑波大大学院でコーチング論を学び、修士の学位を持つ新人監督。キャンプイン前日のミーティングでは、挑戦することの意義を語った。
「スポーツする人って、失敗を恐れてトライしないのが一番かっこ悪い。失敗してもいい。失敗しなくなるように、失敗して、いろんなことを覚えていってほしい。『失敗しても割とチャンスがあるんだな』みたいな。そんな感じでやってほしい」
ずらりと並んだいすに座った選手らの前に立ち、約5分のあいさつで「トライ」という言葉を多く使った。佐々木朗希投手(21)や安田尚憲内野手(23)ら期待の若手が集う伸びしろあるチーム。失敗から得られる学びの大きさを知る指揮官は時折、選手に発言を求めながら「とにかくトライしてください。そして、トライしたことを振り返り、教訓を引き出して、また次に向かっていく。そういう思考のサイクルで日々を過ごしてください」と語りかけた。
吉井監督は就任1年目のキャンプで1、2軍を設けない新たな取り組みにも挑戦している。自立を求め、個人練習の時間を多く取る。主将の中村奨吾内野手(30)は、「全体練習が終われば、自分の好きな練習ができる。皆が集中して、練習に取り組めているのかなと思う」と前向きにとらえている。
昨季はピッチングコーディネーターで「野手は特に…『このおっちゃん何者?』と思っている選手がまだいると思う。いる期間にコミュニケーションを取っていきたい」との思いを胸に突入した春季キャンプ。指揮官は〝ファーストミーティング〟でのインパクトある言葉で選手の心をつかんだ。2023年のチームスローガンは「今日をチャンスに変える。」。昨季5位に低迷したロッテ。05年以来18年ぶりのリーグ優勝へ、失敗を恐れず、挑戦する姿勢を貫く。(サンケイスポーツ・ロッテ担当)
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