デキる男(中島裕翔)は脱出できるのか!?©2023 Gaga Corporation/J Storm Inc. Hey! Say! JUMPの中島裕翔が6年ぶりに主演した映画は、99分の上映中、ほぼほぼ1人で出ずっぱりのシチュエーション・スリラー。最近の日本映画でお久しぶりのアイデアの勝利です。
昨年末、「Dr.コトー診療所」「映画 イチケイのカラス」の試写後に手渡されたのは、ネタバレNG項目が記されたペーパー。本作も「御覧いただいた今、みなさまも〝共犯者〟として、衝撃のラストはご内密にお願いします」とネタバレNG1点を書いたペーパーがプレス資料に挟まれてました。
メガホンは「私の男」の熊切和嘉監督で、オリジナル脚本が「マスカレード・ホテル」シリーズの岡田道尚。見て納得です。なんなら、予備知識は「飲み会の帰りにマンホールへ落っこちたサラリーマンの話」だけで十分かも?
中島が演じる主人公は不動産会社の営業成績ナンバーワン、川村俊介。勤めている会社の社長令嬢と挙式前夜、後輩から「相談がある」と呼び出されて東京・渋谷のバーに行くと、同僚らがサプライズで結婚祝賀パーティーを開いてくれた。
驚きつつ、独身最後の夜を楽しみますけど、デキる男は違います。「相談」と聞いた時点でサプライズを察知。同期(永山絢斗)に「わざと引っかかったんだ」と、こっそり明かし、翌日に備えて一次会で帰ります。
が、ちょっぴり足がふらついて、酔ったかな、と思った瞬間に意識が…。気づくと、右太ももに激痛は走り、見上げれば、まん丸の空。マンホールに落ちた!?
「最悪!」。けがは転落したときに何かが刺さったらしい。婚約者や同期、後輩に電話しまくるけど、すべて留守電。唯一、つながった元カノ(奈緒)が渋々、渋谷まで〝救出〟に来てくれたものの、スマホのGPSが示す位置に、フタの外れたマンホールはどこにもない。
「嫌がらせ? 警察に電話したら」。デキる男としたことが。あわてて110番するけど、巡回の警官も渋谷に〝穴〟はないという。そうこうしてると大雨が。「は? 渋谷に雨とか降っとらんけど」と九州出身の元カノ。ここは、どこ?
デキる男は〝女子の方が助けてくれるはず〟と売れないアイドルの写真をアイコンに拝借し、「マンホール女」のアカウントでSNSユーザーにSOSを配信する。
なるほど、それでタイトルに「#」。場所を探ってくれる人もいる一方で、何か事件があると加害者、被害者の素性を暴いてさらすネット民はここでも容赦ない。そうこうしてるうち、穴の底ではガスが漏れ、壁の裂け目から謎の泡が大量に吹き出してきて…。
約90分間、中島裕翔が、ひたすらあがきまくった果てのサプライズに心の中で「えーっ!!」と叫んでました。こんなん、絶対書かれへん! 喜んで〝共犯者〟になります。(笹井弘順)
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