チームには必ず外国人選手がおり、英語、スペイン語などの言葉が練習や試合で飛び交うプロ野球の世界。新外国人にとって重要なのが日本のチームへの順応で、通訳はいるが選手にも英語を理解してくれる人がいれば、より早く溶け込めるだろう。その役割を担うことができる一人としてヤクルト・木沢尚文投手(24)がいる。
昨季は米大リーグ、ダイヤモンドバックスに移籍したマクガフと〝師弟関係〟を築いた。シーズン中は毎試合終わりにクラブハウスのロッカールームで反省会。「今日の登板はどうだったか」や、マクガフの登板に対して気になったことを質問し、逆に意見を求められることもあった。一日の最後に時間を作ってもらい「まだまだ経験がないので、経験豊富なスコットからいろいろと教えてもらえるのはありがたかった。難しい内容以外は自力で英語で話すように心掛けていました」と通訳なしで行っていた。
遠征先の食事もほとんど一緒。マクガフ自身も英語を理解してくれることで気心が知れて、楽だった。現在もLINEで連絡を取り合っており、最近はマクガフから「新居のトイレにウォシュレットがついた」と報告があったという。
オスナやサンタナも同じだ。オリックスとの日本シリーズ初戦で救援した木沢がピンチを招くと真っ先に駆け寄ったのはオスナだった。
「君のファストボールは十分スピードがあるんだから、あんまり際どいところを狙いすぎなくて大丈夫。ストライクゾーンにどんどん投げてゴロを打たせれば良い」
もちろん会話は英語。外国人選手が大舞台で日本人選手よりも早くマウンドに向かい、的確なアドバイスを送りつつ落ち着かせるための間を作った。これも木沢であったからであろう。理解してくれるからこそ、積極的に声をかけられた。
今季のチームは新外国人として先発候補のエスピナルとピーターズ、抑え候補のケラが加入した。既に3選手は来日しており、木沢は「ケラのカーブはピカイチ。学べるものは学んでいきたい」と意欲をみせる。積極的にコミュニケーションをとって、お互いを知ることができればチームに溶け込むのも早く、より活躍できる可能性は高まる。
ただ負けてはいられない。「しっかりと信頼を勝ち取って、今季は勝ちパターンで投げられるようにしたい」。今オフは左打者への対策を重点的に、カーブやスプリットなど今まであまり使ってこなかった変化球の精度を高めようと取り組んでいる。プロ3年目。さらなる進化を遂げ、燕の勝利を呼び込む雄たけびを挙げる。(森祥太郎)
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