感想戦で対局を振り返る藤井王将(右)と羽生九段=29日、金沢市(代表撮影) 将棋・第72期王将戦七番勝負第3局第2日(29日、金沢市・金沢東急ホテル)先手の藤井聡太王将(20)=棋聖など5冠=が羽生善治九段(52)を95手で下し、対戦成績を2勝1敗とした。2月5日には羽生九段に続く史上2人目の6冠獲得に挑戦する棋王戦五番勝負が開幕。王将戦と時期が重なる過酷な日程となるが、偉大な先輩との歴史的シリーズで第2局の敗戦から立て直し、「ダブルタイトル戦」へ弾みをつけた。
極寒、厳冬の金沢決戦。この日も16センチの積雪があった北陸の城下町で、新旧天才対決は熱気を帯びた。令和の天才、藤井王将が前人未到のタイトル通算100期に挑戦する平成の天才、羽生九段を圧倒した。
「どういう構想で指すのか非常に難しくて、分からないところも多い将棋だった」。午後4時10分、羽生九段が投了。持ち時間を1時間19分残しての大勝にも、冷静な口調はいつも通りだ。後手の羽生九段が自玉の前に金と銀を屋根のように配置する「雁木」で構えたのに対し、最年少5冠は序盤から攻めの姿勢。難解な中盤戦が続いたが、藤井王将が敵陣へ大駒を放ってから有利に。その後も的確な指し手でリードを広げて勝ち切った。
過密日程が待ち受ける。王将戦の次戦、第4局は2月9、10日に東京都立川市で指される。その前の同5日、渡辺明棋王(38)=名人との2冠=に挑戦する棋王戦五番勝負がいよいよ開幕。王将戦との「ダブルタイトル戦」へ突入する。1994-96年に6冠以上(当時の全七冠含む)を保持していた羽生九段以来となる6冠獲得をかけた戦いで、奪取すれば最年少6冠記録を更新する。
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