日通・川船龍星投手は、最速152キロのドラフト候補(撮影・赤堀宏幸) 即戦力とは、「すぐにプロで使える力がある」という意味だと解釈される。いいかえれば、神宮球場での大学のリーグ戦後、「このあとの夜、プロのユニホームに着替えて出たら、相当やるんじゃないか」という感想をスカウトがもらすような力のことだろう。
となると「10年に一人」という声が出る高校生以外では、大学、社会人、独立リーグで見られるか、だ。
実際、社会人野球の1年を過ごせば、見えるものはある。2年目で今秋のドラフト候補に挙がる日通の最速152キロ右腕・川船龍星投手(松本第一→拓大)は、昨年1年間をこう振り返った。
「大学ではエースとして春秋(東都2部の)リーグ戦以外は公式戦がなかった。それが社会人は3月からいろいろな大会があり、試合が多いし、都市対抗は2次予選まであり、1年間通して投げなきゃいけない。夏の休みがなく、チーム内の争いが全く違う」
社会人野球がプロで活躍するのと同様に力を培う場であり、高いレベル、しのぎ合いがあることを示唆する。
同じく候補に挙がる日通の最速150キロ右腕・古田島成龍投手(取手松陽→中央学院大)も1年目でこう話す。
「春の四国大会はよかったけど、その後調子を落とし、都市対抗の予選では貢献できず、本大会に間に合った感じ。大学4年の秋に明治神宮大会優勝もずっとよかったわけではないが初対戦もあって、ラッキーな部分もあったけど、社会人では1年間に同じ相手と戦ったり、研究される度合いも違う」
日本の野球をピラミッド式に見た場合、中学、高校、大学とレベルが高くなるにつれ、選別、人数も減り、社会人かプロ、そして社会人を経てプロに進む形になる。
プロのステージとの〝距離感〟、経験、立ち位置など、高校、大学から直接ドラフト指名を受けるのとは違いが大きい。
「給料をもらい、会社の応援を受け、野球している意識は強い」と古田島。厚い選手層、高いレベルと試合量で心・技・体が充実してこそ、即戦力-の評価となる。(アマチュア野球取材班・赤堀宏幸)
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