東京・渋谷のスクランブル交差点をマスク姿で行き交う人たち。新型コロナウイルスの「5類」引き下げが決まった=27日午後 新型コロナウイルスの感染症法上の「5類」移行を巡り、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、計1兆4000億円規模の経済効果を見込むと試算した。別のエコノミストからは、オミクロン株の新たな派生型が流行し景気に悪影響を及ぼすと警戒する声もあった。
熊野氏は2023年の日本経済について、就労の拡大で8000億円、消費の改善で6000億円の効果を見通す。流行第7波、第8波の動向を踏まえ、今春以降の感染者が1000万人だとの前提で試算した。
現状のコロナ対策で経済的な影響が大きいのは「待機期間が設定され、就労できなくなることだ」と熊野氏。感染者や濃厚接触者の待機が圧縮されれば、経済活動が盛んになると読む。停滞が目立っていた飲食や娯楽などのサービス業も回復していくと予想する。
一方、SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは「夏にも第9波が発生する可能性がある」と指摘し、派生型の流行を警戒。季節性インフルエンザと異なり、コロナは後遺症の問題もあるため、5類移行後も景気の下押し要因であり続けるとの見方を示した。
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