昨秋のキャンプで広岡大志(右)と笑顔でグータッチをかわす巨人・大久保博元打撃総合コーチ いかにして過ごすのか。若手主体で行われた昨秋のキャンプに臨んだ巨人の選手たちは、オフシーズンを迎えるにあたって共通の課題を与えられた。練習計画表の提出だ。発案者の大久保博元打撃チーフコーチ(55)によると、誰よりも詳しく記したのは広岡大志内野手(25)だった。
「大志は書き方が丁寧だったね。ちゃんと考えていた」
広岡は昨季、故障の影響で出遅れた正遊撃手の坂本に代わって開幕戦の先発に名を連ね、適時打を放って勝利に貢献した。滑り出しこそ良かったが、その後は振るわずチャンスをつかみ取れず。出場28試合で打率・180にとどまった。
「悔しいシーズンでした。何もできなかったので…」
巻き返しを期したオフは昨年に続いて内川(前ヤクルト)に師事。連日早朝から2000スイングで追い込んだ昨秋のキャンプのように練習量を重視しつつ、通算2186安打を誇る好打者の技術を貪欲に吸収した。
大久保コーチは就任1年目。計画表の提出には、選手の特徴を把握する狙いもあった。「もちろん計画を立てることが大事だけど、性格チェックもある」と説明する。計画表の書式は定めず、手書きを課した。広岡のように一日ごとの予定を細かく記す選手もいれば、大ざっぱに書く選手もいた。
字には心が表れるものだ。大久保コーチは昨年12月、プライベートで広岡と会う機会があった。「いい顔をしていた。『よし、やるぞ』ってね」。短時間だったが、表情や体つきから今季にかける覚悟を感じ取ったという。
広岡は2軍で春季キャンプを迎える。「坂本さんに追いつき、追い越せるように。ショートのレギュラーを取るつもりでやっている。20発は打ちたい」。殻を破り、潜在能力を解き放てるか。勝負の8年目の幕が上がる。(鈴木智紘)
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