「島を出てどこまでできるか試したい」。ヤクルトのドラフト4位・坂本拓己投手(18)は、中学まで生まれ育った北海道南西部にある奥尻島から、高校は道内の知内高に進学。不安と希望に満ちあふれた気持ちで島を出て才能を開花させていった。
「自分の野球がどれだけ通用するか。それだけでなく寮生活を通じて人としても成長できるように。今後、困らないように自立できるようになりたいと思って、島を出る決断をしました」
1学年上に奥尻島から知内高に進学した先輩がいたこともあって、入学を決意。函館から南西へ、バスでおよそ2時間半。人口4000人ほどの知内町にある全国でも数少ない町立の高校で、町を挙げて野球部を応援している。坂本は島で野球の基礎は培われていたが特別な才能があったわけではなく、スタートは走り方からだった。
同校の吉川英昭監督(46)は短距離走が野球の動作につながると分析。体の使い方や投げ込む際の踏み込む力などをつけることができると、男子100メートル、200メートルの世界記録保持者、ウサイン・ボルトの走り方をまねさせて特訓。コツコツと努力した坂本は50メートル走5秒9、球速は入学時の110キロ台から147キロまで伸びた。
この記事をシェアする