挑戦を続ける男の気概を応援したい。15日(日本時間16日)にレンジャーズとのマイナー契約が発表された筒香嘉智内野手(31)だ。米球界4年目は、初めてのマイナースタート。2月20日(同21日)から始まる春季キャンプでは、メジャーキャンプに招待選手として参加し、昇格を目指す。
もちろん、はじめからメジャー契約を獲得できたほうがよかった。昨年11月、ラスベガスでのGM会議で代理人を務めるジョエル・ウルフ氏は「メジャー契約を取れると確信している。しかし、1月の終わりまでにメジャー契約を結べなければ、どうするか話し合うことになる」と状況を明かしていた。ウルフ氏のいう「1月の終わり」よりも2週間早い決断は、マイナー契約からはい上がる覚悟と決意を固めた、ということではないだろうか。
2021年のオフ、パイレーツからは3年契約のオファーを受けた。しかし、自らが1年契約を選択。「本気で勝負を」との思いから、あえて退路を断って臨んだ。昨季キャンプ終盤から開幕にかけて腰痛に苦しみ、思うような動き、スイングができなくなったことが、誤算だった。
タラ、レバをいえばきりがないが、昨季のマイナー3Aでの最終戦(昨年9月28日)にあのとき休んで回復に努めれば、という後悔はないか? とたずねた。
「いける、いく、と判断したのは僕。それを決断したのは僕なのでそこの責任は、僕が取るしかない」
振り返ることよりも潔く現実を受け止めた。同時にメジャーで戦うには自分の状態を仕上げ、さらに高めなければ通用しない、ということも痛感したはずだ。実際、多くのメジャーリーガーの代理人を務めてきたウルフ氏も「(けがをしながらコンディションが)60-70%の力で通用するところではない」とメジャーで戦う厳しさを知る。
メジャーキャンプへの招待選手、ということはオープン戦から結果をアピールする必要がある。おそらく、調整ペースも早めてアリゾナ州入りするはずだ。
「(メジャーは)自分の夢の舞台ですのでことし1年(2022年)、すごくいろんなことを経験して一番(渡米後の3シーズンで)濃かったと思います。そう簡単に諦めるようなものであれば夢ではないと思いますし、僕の中ではそういった覚悟を持ってこっちにきているので、そういう思いでいます」
逆境からはい上がり、「夢の舞台」への返り咲きを見据え、勝負の3月に向かう。(山田結軌)
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