23日から通常国会が始まる。内閣支持率低迷の打開策として内閣改造や年末選挙まで噂されたが、さまざまな政策を粛々と打ち出すことで岸田政権への理解を求める方針を選んだようだ。
岸田文雄首相は2021年10月の就任直後の臨時国会で「検討する」という文言を64回使って追及の手をやわらげ、「検討使」の称号を得た。昨年の通常国会では61本の法案を上程し、異例の成案率100%の安全運転。その成果もあって参院選でまずまずの結果を得て、衆院を解散しなければ国政選挙を3年間やらずに政策推進に集中できる「黄金の3年」を手に入れた。
しかし〝検討するが何もしない作戦〟は長く続かなかった。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点、政治とカネ問題が噴出して支持率が急降下し、4閣僚を事実上更迭。そこで、旧統一教会問題を受けた被害者救済法の成立を急ぎ、防衛費増額を打ち出し、「異次元の少子化対策」を宣言するなど政策面でアピールし始めた。
防衛費増額の財源となる増税について、昨年末に閣議決定。野党側からは国会審議前の閣議決定に批判の声も出たが、この通常国会では大きなテーマとして議論されることになろう。国民に「代」わって「議」論する「士(さむらい)」が、「代議士」だ。代議士は衆院議員を指すが、参院議員も同じく重要な役割を担っているのは言うまでもない。
政策推進には予算が必要だが、財源不足の懸念は根強い。どこに財源を求めるのか、予算削減はできるのか。国民の税金に関わる話であり、国民はサムライたちがどのような議論をしていくのか、行方を注視する必要がある。(政治評論家)=毎週日曜掲載
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