がんは声帯の近くにもできており、手術で取れば再発はしないが、声を失う。秋野は「しゃべることが仕事ですから、それは困る」と医師に相談。医師から「化学放射線治療がありますが、全く同じ症状でも抗がん剤が効く人と効かない人がいる。やってみないと分からない」と言われるも、再び仕事をする自分を思い描き、後者の治療を選んだ。
当初、食道の上下に3カ所と言われたがんは「見つけにくいところもあって5つだった」。7月から抗がん剤治療、放射線治療が始まった。「(放射線治療の)20回目くらいが一番大変でした。のどの中に剣山(けんざん)が入っているみたいになって水を飲むのも痛かった」と告白。それでも、「放射線を当てて焼けた部分の皮がむけて、首のしわが少しなくなって。悪いことばかりじゃないなって思うようにした」と前向きに捉えた。
抗がん剤で髪が抜けると思い、自分で先に髪をそったが、「バサバサ抜けることがなくて、先生に『そらなくてよかったのに』って言われました」と苦笑い。
11月には食道内視鏡的粘膜層剥離手術を受け、5つのがんが消えた。今年1月の検査の結果でも消えたままだったが、「油断はできません」と気を引き締める。
「がんになってもならなくても人は亡くなります。その時に自分が納得しているかどうか、後悔してないかどうかって、すごく大事。私は後悔しない方法を選びました。明日死んじゃうかもしれないけど、私は自分で選んだ道は正解だったと思って」と力説。
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