春高バレーで6大会ぶり2度目の優勝を飾った男子の駿台学園=2023年1月8日 第75回全日本バレーボール高等学校選手権大会「春の高校バレー」は、男子は駿台学園(東京)の6大会ぶり2度目、女子は古川学園(宮城)の23大会ぶり4度目の優勝で8日に幕を閉じた。
しゃべりは不得意なので面はゆい限りだが、18日公開のポッドキャスト「サンスポ音声局 しゃべる新聞」で大会を振り返らせてもらった。本稿ではそこから敷衍(ふえん)したい。
ポッドキャストでも触れた駿台学園の梅川大介監督は、バレーの将来を常に考えるアイデアマンでもある。最新のバレー理論に基づいた戦略や指導はもちろんだが、考えはその枠に収まらない。
駿台学園の梅川大介監督(左)例えばチームが試合前のアップ時に着用しているシャツには地元企業の広告がついている。学校教育の場である部活動になじまないと感じる向きもあるだろうが、これは部活動の将来像へ向けた試行錯誤だ。
同校は全国の有力校と合同合宿を行うことも多いが、そのホストとなる場合を含め、校外の区立体育館などを利用する。使用料は年間200~300万円。現状は保護者が支出しているが、少しでも負担を減らしたいところだ。それに加えて「部活動は、今後はクラブになっていくと思うんですよ」と梅川監督。
その兆しはすでに、スポーツ庁による運動部活動の地域移行という形で見えている。教員の働き方改革に加え、少子化で特に団体球技で学校単位のチームが形成できないことなどへの対応だ。
休日の部活動を校外のスポーツ指導者や地域のクラブなどに委託していき、その先は平日にも拡大していく構想は、当面は中学が対象だが、将来的にはさまざまな年齢層がともに汗を流せる形も視野にある。多くの課題の中には校外の指導者への報酬を誰が負担するのかという問題もあり、部活動がクラブとして資金的な自立を目指すのは一つの解になるだろう。
「若い(部活を持たない)教員は5時になると帰ってしまう。よっぽど好きでないと続かない。このままでは指導者がいなくなる。収益がうまく回ればいいのかなと」と梅川監督。
もう一つ、監督が切望するのがリーグ戦の実現だ。中高の、特に対戦型競技でかねて指摘されている問題点は試合数の少なさ。現状のトーナメント制では、初戦で負けるような弱いチームが年間に経験できる公式戦の数は限られる。強化は実戦で発見した課題を練習で克服し、再び実戦で試すことで図られる。現状、このサイクルは友好校との練習試合で回されているが、公式戦が増えれば質は格段に上がる。
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