新年早々、わが家にうれしい来客があった。ツインズ・前田健太が6日、家族で遊びに来てくれた。以前は渡米前の恒例行事だったが、新型コロナウイルスの影響で昨年と一昨年は見合わせたため3年ぶりだ。
私にとって大阪・PL学園高、広島の27歳下の後輩。2007年にプロ入りしたとき、私は打撃コーチだった。3年間同じチームで戦ったので、なおさら思い入れが強い。かつて彼は、自身のSNSに私を「東京のお父さん」と紹介してくれたことがある。ご両親より私の方が年上だから、当然のことか。
〝親〟としての心配はやはり、21年9月に靱帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を受けた右肘の状態だ。昨季終盤に復帰という情報があったものの、万全を期してリハビリに専念。「(手術前は)投げられているけど、どこか違和感があった」そうで、すっきりした顔を見て安心した。
復帰1年目は球数制限などで大変だろうが、前田の口からは「今年が勝負です」という言葉が出た。今季でツ軍との契約が切れて、フリーエージェント(FA)になるからだ。来オフのFA選手には大物投手が多く、ある程度復活できたことを示さなければならない。広島の同期入団で現役を続けているのは同じ34歳の捕手、会沢だけ。渡米前の自主トレは、沖縄で1人で頑張るそうだ。
ただ、休んでいる間にナ・リーグがDH制を採用した。前田は投手の中では打撃が得意だし、メジャーでも本塁打を記録している。交流戦でも打席に立つ機会がほぼなくなり、「バットをたくさん持っているのに、いらなくなった。がっかりです」と苦笑いしていた。
前田家も小早川家も犬を飼っているので、愛犬の話でも盛り上がった。あっという間に4時間がすぎて、そろそろお開きという頃、〝マエケン画伯〟がうちの家族を描いてくれた。そして「縁起がいいから早く来たかったんですよ。今年は頑張れます」と笑った。わが家に寄ってから渡米した年は成績を残し、寄れなかった2年間は手術とリハビリ。1年後も笑顔で再会できるよう、右腕の復活を願うばかりだ。(本紙専属評論家)
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