宝塚歌劇団の魅力をお届けする「すみれ通信」。2023年最初は花組トップスター、柚香光(ゆずか・れい)の登場です。「うたかたの恋」「ENCHANTEMENT-華麗なる香水(パルファン)-」(宝塚大劇場=30日まで、東京宝塚劇場=2月18日~3月19日)でオーストリアの皇太子、ルドルフ役を務め、初演から40周年を迎える不朽の名作に挑む。
悲劇の皇太子が蘇る。大劇場で30年ぶりの再演。時代が令和に移り変わった今、柚香が白い軍服に息を吹き込む。
「とても名作で、受け継がれてきた作品なので、先入観がどうしても働いてしまいますけど、先入観をいかになくしてイチから作っていけるか。柴田(侑宏)先生が最初に描かれたものを探っていけるか…というのが、今とても大事にしている課題です」
初演は1983年、故・柴田侑宏氏の演出で雪組が大劇場で上演。40年間で幾度となく再演された名作だ。目を引く衣装と舞台設定-。宝塚の王道と言っていい、はかなくも美しい愛の物語に挑戦する。
そして、2023年の宝塚大劇場もこの公演から。「1月1日から舞台に立てると、『よし、今年も仕事に命をささげるぞ!』となります。襟を正すような気持ちになりますね」。お正月公演も担い、歌劇団全体に新年のパワーをもたらすつもりだ。
昨年を一文字で振り返り選んだ文字は「凄」。「(2022年は)いろんな出来事がありすぎましたので。凄かったな~」と笑わせると、「多くの人に支えて頂き、導いて頂き、本当に多くのことを学ばせて頂きました。すべての経験を大切に一歩一歩、歩んでいきたいと思います」と周囲への感謝を忘れない。
タカラヅカの歴史がつないできたラブロマンス。バトンを受け取った花組が、らしさ全開の舞台を作り上げる。
★うたかたの恋 19世紀末、オーストリアで実際に起こった悲恋を描いたクロード・アネの小説「マイヤーリンク」をもとに、故・柴田侑宏氏が脚本を務め、1983年に上演した。以降、再演を重ね、今では宝塚歌劇を代表するミュージカルのひとつに。初演から40周年となる2023年、小柳奈穂子氏が潤色、演出し、皇太子・ルドルフと男爵令嬢マリー(星風まどか)の許されざる恋を新たな演出で、はかなくも美しい究極の愛を描く。
★ENCHANTEMENT-華麗なる香水(パルファン)- 「ENCHANTEMENT」とは、「魔法にかかる、恍惚とする」を意味するフランス語。調香師のレイ(柚香)が魔法の香水を振りかけると世界はばら色に輝きはじめ、人々は魅惑の宵へと誘われていく…。世界中の人々を魅了する香水(パルファン)をテーマにした荘厳華麗なレビュー作品。
■柚香 光(ゆずか・れい) 3月5日、東京都杉並区生まれ。区立和泉中学を経て、2009年4月に95期生として入団。同年、宙組公演「Amour それは…」で初舞台。その後、花組に配属され、「ラスト・タイクーン」「エリザベート」など、3度の新人公演主演を経験。17年「はいからさんが通る」で外部劇場初主演。19年「花より男子」の道明寺司役が話題に。同年11月にトップスターに就任した。身長171センチ。愛称は「れい」。
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