年明け初めての本欄。今年も引き続きご愛読ください!
さて、今年の政界の流れについて4日付のサンケイスポーツ記事で「早ければ7月に解散・総選挙」の可能性を指摘した。防衛力強化と財源としての増税について、今月下旬からの通常国会で審議される。反発が強くても評価が高くても、国民の審判を仰ぐにはチャンス。勝算ありのタイミングとみる。
その衆院選では、「一票の格差」是正のため次回から小選挙区の「10増10減」が実施される。東京で5選挙区増えるなど全国で計10選挙区が増える。代わりに山口や和歌山など10県で1区ずつ減る。その上、全国289選挙区のうち140選挙区で区割り変更となる。
以前の本欄でも指摘したが、特定の議員を支持する有権者にとって、その議員が他の選挙区に移れば応援できなくなる。候補者も区割りが変われば、新たな支持者の開拓に困惑するだろう。本来、政治家は地元で鍛えられ能力も人格も磨かれていくもの。だが、区割りが変わるかもしれない地域のために働くより、当選しさえすればいいという意識の人が増える危惧も出てくる。
こうした混乱を招くのであれば、従来の中選挙区に戻してその中で人口比により増やしたり減らしたりする方がなじみやすいのではないか。現在の小選挙区制では落選議員の比例復活当選も問題視されているが、それ以上に落選により政界から離れてしまう人も多数いる。能力的には惜しい人材も数多い。
現職議員は現在の公職選挙法で当選しているため、現状を変えるという意識が薄い。区割り変更を機に、さまざまな問題があぶり出されてきた。国民にとって、どのような選挙制度がいいのか改めて考え直すチャンスといえる。(政治評論家)=毎週日曜掲載
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