サンケイスポーツのインタビューに答えた萩原チーム統括本部長。若きかじ取り役の挑戦が注目される(撮影・荒木孝雄) 2012年シーズンの球団経営参画以降、球界の慣習にとらわれず新たな取り組みを進めるDeNA。12月1日付で編成部門のトップに就いたのが萩原龍大チーム統括本部長(45)だ。今季限りで退任した三原一晃球団代表(54)に続き、日本球界では少ないプロ野球での選手経験がない編成責任者となる萩原氏を直撃。最新のIT技術などを駆使した強化を武器に「世界一の球団」を目指すという壮大な挑戦に迫った。(取材構成・浜浦日向)
DeNA・萩原龍大チーム統括本部長インタビュー=横浜市中区のDeNA球団事務所(撮影・荒木孝雄)〝人事のプロフェッショナル〟の挑戦が始まった。45歳で編成トップとなった萩原氏は「高みにいて、めったに会わないというより、練習を手伝ったり気軽に話したり、チームを構成する一人のメンバーと思ってもらえる行動をしたいですね」と、自身のリーダー像を明かした。
東京都立国立高のエースを務めるなど高校まで野球を続け、慶大理工学部に進学。インターンで新卒人事を一から構築する仕事にひかれ、ディー・エヌ・エー本社に入社した。人事畑を歩み、2012年の球界参入を機に球団へ出向となった。
ITの最先端企業から〝昔ながら〟の球団に移った萩原氏は「ギャップがすごかった」と振り返る。14年からチーム運営を担うチーム統括本部に異動すると、IT環境の整備や外部人材の登用などで意識改革を推進。親会社による補塡が球界の常識だった中、16年には画期的な球団単体での黒字化を実現し、予算が増えることで補強の方針も変わってきた。
「(中日からトレードで獲得した)京田選手もそうですが、『若手が成長してきているから枠を空けて待とう』ではなく、層を厚くすることに躊躇(ちゅうちょ)しない。オースティンが、ソトがいるからいいではなく、常に競争が起こるように、より良いことができないかを考えられる環境になってきました」
経営の健全化で選手の総年俸は上昇。これまで控えていた大物FA選手の獲得も「近い将来で、ゼロとは言わないです」と説明した。
補強だけではない。IT大手企業が運営する球団としての強みを生かし、最新機器を次々と導入。球界をリードしてきたデータ活用の分野でも次の段階を見据える。