手を後ろに回し、顔を突き出してバトラー(左)を挑発する井上。消極的なWBO王者を圧倒し、4団体統一を成し遂げた(代表撮影) プロボクシング・4団体世界バンタム級王座統一戦(13日、東京・有明アリーナ)バンタム級で世界主要4団体の王座統一に成功した井上尚弥(29)=大橋=のファイトマネーは、最低保証額が3億円だったことが関係者の話で分かった。軽量級では破格で、自身最高額。6月の前戦、3団体王座統一戦のファイトマネーが2億3000万円だったことも判明。実力に加えて人気、収入も上昇した井上は、次戦は1階級上のスーパーバンタム級に転向することを明言し、世界4階級制覇を目指す。
6R ガードを下げてポール・バトラーに向かう井上尚弥(左) =有明アリーナ(代表撮影)日本選手初の世界主要4団体統一という偉業を達成した井上には、軽量級では破格の待遇が用意されていた。関係者によると、今回のファイトマネーは最低3億円。さらに、ネットで有料配信された視聴者数などによってインセンティブがつくという。
6月にさいたまスーパーアリーナで行われた前戦、WBC王者のノニト・ドネア(フィリピン)に2回TKOで圧勝した3団体王座統一戦のファイトマネーは2億3000万円だったことも分かった。前戦から7000万円以上アップしたことになる。井上は「そういう額を出していけば、ボクシングをやっている子供たちに夢を与えられる」と語る。
来年は世界4階級制覇を目指してスーパーバンタム級へ乗り込む。同級はWBA、IBF統一王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と、WBC、WBO王者のステファン・フルトン(米国)が4団体のベルトを分け合っている。強敵とのビッグマッチが実現すれば、さらなるファイトマネーの上積みも期待できる。
世界タイトルを初めて獲得した2014年4月のWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ(東京・大田区総合体育館)の観客は4800人。その後の世界戦ではチケットが売れ残ったことがあった。
8R、ノーガードでポール・バトラー(手前)を見る井上尚弥=有明アリーナしかし、今年6月のドネア戦は1万7000人の大観衆が詰めかけ、試合後には米国の老舗専門誌「ザ・リング」選定の全階級を通じた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で、日本選手初の1位に輝いた(現在は2位)。この日の4団体統一戦もチケットは完売。1万5000人が〝尚弥〟コールを連呼した。
10月に発表された笹川スポーツ財団の「好きなスポーツ選手」の調査で、井上は大谷翔平(米大リーグ、エンゼルス)フィギュアスケート五輪2連覇の羽生結弦さん、日米の野球ファンを魅了したイチローさんに次いで4位に入った。実力に伴って人気、収入も上昇を続けており、スーパースターへの道をひた走る。
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