成田空港に帰国し、大勢のファンの出迎えを受ける日本代表の選手たち。8強入りは果たせなかったが、強豪のドイツとスペインを破った戦いぶりは列島を熱狂させた(撮影・桐原正道) W杯カタール大会で16強入りした日本代表の森保一監督(54)や主将のDF吉田麻也(34)=シャルケ=らが7日、成田空港着の航空機でドーハから帰国した。到着ロビーには出国時と対照的に約650人のファンが大挙する熱狂ぶり。空港近くのホテルで記者会見に臨んだ指揮官は「ドーハの歓喜」の余韻に浸った。
会見で笑顔を見せる森保監督(右)と吉田(撮影・福島範和)列島を沸かせたイレブンを出迎える日くらい、歓喜の雄たけびが許されてもいい。コロナ禍で大声や密集が敬遠される世の中。幾重にも広がった人垣から、森保ジャパンのW杯を象徴するフレーズが飛び交った。
「ブラボー!」
現役時代の1993年にW杯初出場を逃した因縁の地から帰国。熱狂を目の当たりにした森保監督は「ドーハの悲劇からドーハの歓喜を味わえた」と晴れやかな表情を浮かべた。
空港の到着ロビーには、青いユニホームを身にまとったサポーターら約650人が大挙した。国内組のみで閑散としていた出発時とは対照的な光景。約190人の報道陣が押し寄せ、約60人の警備員が配された。
裏話もあった。吉田は印象的な場面として、コスタリカに0-1で敗れた1次リーグ2戦目のハーフタイムを挙げた。「監督がブチギレて…」とニヤリ。森保監督は「ここで言葉にするとハラスメントになる」と冗談を飛ばしつつ、低調だった前半からの挽回を期した叱咤(しった)だったと明かした。
日本は初の8強進出を懸けたクロアチア戦でPK戦の末に屈したが、1次リーグで強豪のドイツとスペインを破り世界を驚かせた。チームは6日にドーハで解散し、日本協会によると18選手が帰国。一部の海外クラブに所属する選手は欧州へ戻った。日本代表の年内の活動は終了し、来年は3月に最初の国際Aマッチ期間が設けられている。
「新しい景色を見ることはできなかったが、選手たちは新しい時代を見せてくれた」と森保監督。その雄姿は確かに見る者の心を動かした。(鈴木智紘)
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