山崎さんが行司の最高位、庄之助に昇進したとき、地元・枕崎市の酒造元「薩摩酒造」が結びの一番に懸賞を懸けてくれるようになった。鹿児島県人らしく芋焼酎が大好きだった山崎さんのお気に入りは同酒造の「さつま白波」。会社の粋な計らいで「鹿児島枕崎が故郷。さつま白波」の場内アナウンスとともに懸賞旗が土俵を一周した。
もちろん、この懸賞は山崎さんではなく、結びで勝った力士の手に渡るが、「薩摩酒造の懸賞旗が土俵を回っていると、毎回、背筋がシャンとしたものです。故郷の会社が自分を認めてくれたように感じてね、本当にうれしかった」。
事を起こすとき、行司部屋が設置されたときのような大義名分が大切なときもあるだろう。だが、番付社会を支える行司の存在価値を、尊敬をもって認めている視線も忘れてはならない。(奥村展也)
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