試合後、サポーターにあいさつする森保一監督=アルジャヌーブ競技場(撮影・蔵賢斗) サッカー・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦(5日、アルワクラ)日本はクロアチアに1―1からのPK戦で敗れ、初の8強入りはならなかった。日本代表歴代トップの国際Aマッチ通算75得点をマークし、日本協会副会長などを歴任した釜本邦茂氏(78)は、森保ジャパンの奮闘ぶりを評価した上で、得点力を世界との差に挙げた。
いいゲームだった。それにしても8強への壁は高いね。日本は120分間よく走ったけど、相手は世界のクロアチア。粘り強かった。
前半に耐えて後半勝負に出るスタイルを定石としてきた日本。前半終了間際に先制できたのは大きかったけど、後半は攻め手を欠いた。強みを封じられ、途中出場の〝切り札〟三笘は思い通りの仕事ができなかった。サイドで長い距離のドリブルを仕掛けてくるのが織り込み済みだった相手は、中にボールを入れられないように対応していた。試合巧者だった。
PKを失敗した選手は責められない。ただ、注文はある。名乗り出た選手が出番を与えられたようだけど、1、2番手は経験豊富な肝の座ったキッカーに託してもらいたかった。強豪国にはインステップで力強く蹴る形が根付いている。クロアチアの選手は蹴り足の振り幅が少なく、シュートコースが読みにくかった。
日本と世界との差は、やはり得点力だ。ゴール30メートル前からの豊かなアイデアが欲しい。個の力は確実に上がっているし、チャンスメークする選手も増えてきた。でも、フランスのエムバペやイングランドのケーンのように相手をかわしてシュートを決められるエースストライカーは長らくいないままだ。
組織力をベースに個々の力を上乗せしてきた森保ジャパンの歩みは間違っていなかった。三笘や堂安ら若手は確かに足跡を刻んだ。彼らがどこまで成長できるか。日本のサッカーの未来に期待している。(1968年メキシコ五輪銅メダリストで得点王)
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