PK戦の末に敗れ、肩を落とす日本イレブン=アルジャヌーブ競技場(撮影・村本聡) 「森保ジャパン」は決勝トーナメント初戦クロアチア戦で1―1のままPK戦に突入し、1―3で敗れて史上初の8強入りを逃した。1点を先制しながらも守り切れず。最後はPKのキックの精度の差に屈した。本紙専属評論家の小島伸幸氏(56)と本田泰人氏(53)が試合、大会を振り返った。
本田 PK戦は仕方がない部分が多いけど、それにしても外し過ぎ。メンタル面で負けていたところがある。残念な負けだった。
小島 日本は立候補した選手がキッカーを務めたけど、これは駄目。監督が決めたのなら外しても、「監督が決めたことだから」と選手の精神的な負担は軽くなる。ドイツ、スペイン戦と緻密な戦略を練ってきたのに、最後のPK戦だけは雑になった印象。
本田 試合の立ち上がりはよかったけど、前半30分頃からクロアチアは両サイドから早い段階でクロスを放ってきて、それに日本の守備が苦戦していた。崩してからのクロスではなく、ひたすら早いタイミングでのクロス。日本の弱点を分析していたと思う。
小島 相手は中盤で長短をつけたパスを使い、その流れから最後はクロスで前線の193センチのFWペトコビッチに合わせていた。冨安、吉田らDF陣がよく対応したけど、そのうちの1本をFWペリシッチに決められた。
本田 先制してからが問題だった。日本は1次リーグで先制した試合がなく、森保監督は交代策で悩んでいたのかもしれない。ベンチでスタッフと話し合っている時間が長かったように見えた。1点リードしたときのプランがはっきりしていなかった。
小島 後半途中から入ったMF三笘も良さを消されていた。ボールを持つとMFモドリッチら数人で対応された。見せ場はつくったけど決められなかった。大会を通じて感じたのが、最終的に得点する力を持つ選手がいないこと。やはり強いチームには、試合を決定づける選手がいる。その差だと思う。
本田 欧州でやっている選手が増え、物おじしなくなっている。ドイツ、スペインに勝って8強に近づいたのは確か。でもPK戦という舞台で、キックの質など基本的なことが差となって出てしまったのは残念だ。
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