【プレビュー&予想布陣】日本代表、きょう深夜に歴史的瞬間? 立ちはだかる難敵クロアチア…スペインやドイツとも違う献身性 日本代表は日本時間5日24:00キックオフのカタール・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表と対戦する。前回準優勝の強豪を破り、史上最高位のベスト8にたどり着くことはできるのだろうか。【取材・文=林遼平】
予定どおり、この日はやってきた。森保ジャパンが発足時に掲げた「ベスト8以上」という目標を成し遂げる日。かつて3度、阻まれたラウンド16という高い壁を乗り越える戦いが今、始まる。
ドイツとスペインを撃破してのグループステージ首位通過。誰もが想像できなかった結果は、多くのサッカーファンを歓喜させるに至った。このまま目標とするベスト8にたどり着くのではないか。そう考えている人も多いだろう。
ただ、やはりもう一度、気を引き締めるべきだ。よくW杯では決勝トーナメントから新たな大会がスタートすると表現されることがあるが、これまでのグループステージとは明らかに違う戦いが始まる。勝ち点や得失点を計算するようなことはなく、90分+延長戦やPK戦まで考えた上で試合を進めなければならない。今まで以上に一つの得点が大きな意味を持ち、それによって生まれてくるさまざまな変化に柔軟に対応する力が求められてくる。
対戦相手のクロアチアも強敵だ。ドイツやスペインといった強豪国に比べて名前は落ちるかもしれないが、自分たちの立ち位置を理解している国だからこそリアリスティックな戦いを追求することができる。確固たる形にこだわることなく、相手によって柔軟に動きを変えながら、なおかつハードワークや献身性を重視するあたりは、日本と似ていると言っていい。そんな相手と戦うのだから簡単な試合にならないことは明白だ。
また、相手には抜きん出た力を持つタレントも多い。バロンドーラー(2018年)のルカ・モドリッチを含む中盤の3枚は、高い技術力だけでなく、運動量や展開力、戦術理解度に優れた選手が揃う。「高い水準で何でもできる選手が3枚揃っているので、なかなか思考が読めないかもしれない」と守田英正が警戒するように、ここをいかに抑えるかが試合のポイントになってくるだろう。
チームとしては酒井宏樹が負傷から戻ってきたことは朗報だが、久保建英が体調不良のため2日連続でトレーニングを欠席。この試合の出場はかなり難しいと予想される。延長戦まで踏まえた中で、攻撃のカードが一枚無くなってしまったことがどう響いてくるかはわからないが、言えるのは「本来は11対11ですけど、僕たちは26対11で戦っているイメージ」(堂安律)を持っているということ。ここまでチーム全員の力で勝ち上がってきたことを思い出し、今回もチーム一丸で戦っていくのみだ。
その点で言えば、出場停止となる板倉滉に代わってCBに戻ってくるであろう冨安健洋には大きな期待がかかる。スペイン戦では、途中出場ながらジョルディ・アルバとアンス・ファティという強力な左サイドを一人で完封。「プレミアでやっている日常が出せた。20分強くらい出られたので、良いコンディション調整になったと思います」という発言からも誰とも違う逞しさが感じられる。
クロアチア戦に向けては「硬い試合をするべきだと思いますし、僕はDFなので無失点に抑えることができればいい」と強調。セットプレーを含めてしっかりと相手の攻撃を跳ね返すことで自分たちにペースを引き寄せ、良い守備から良い攻撃へとつなげていきたい。
「必ずクロアチアを破って、みんなで新しい景色を見たいと思います。そしてまた、大きな声でブラボー! と叫びたいと思っています」(長友佑都)
あと一歩届かなかった高い壁を飛び越え、勝利の笑みを日本にもたらすことができるのか。日本サッカーに新たな1ページを刻む瞬間が来ることを誰もが待ち望んでいる。(Goal.com)
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