保育士3人の逮捕を受け、記者会見する静岡県裾野市の村田悠市長=4日午後、裾野市役所 ■12月5日 黄色い帽子をかぶり、保育士に手を引かれた保育園児たちのお散歩を近所でよく見かける。車の行き来はほとんどなくても、いつ何どき暴走車が突っ込んでこないとも限らない。子供たちの命を預かる一時も気を抜けない仕事で、引率の保育士さんには「大変な仕事。ご苦労さまです」と頭の下がる思いだ。
とはいえ世の中には鬼のような保育士もいる。静岡県警が4日、同県裾野市の私立「さくら保育園」の女性元保育士3人を暴行の疑いで逮捕したというニュースは衝撃的だった。いずれも30代の元保育士たちは今年夏ごろ、受け持った1歳の園児3人に虐待を繰り返していたという。
頭をたたき足を持って宙づりにしたり、倉庫に閉じ込めたり…。あげくはカッターナイフで脅したりと1歳相手に信じられない残虐さだ。しかも園長は口外しないよう全職員に誓約書を書かせ、通報しようとした同僚保育士には土下座までしたとか。市長から犯人隠匿で刑事告発されているこの園長と元保育士たちの刑事罰は当然だろう。
同じ静岡県では今年9月、牧之原市の幼稚園送迎バスで取り残された園児が死亡した。この事故を受け送迎後の車内点検や人数確認の徹底、取り残された園児はクラクションを鳴らすよう指導するなど行政は敏感に対応した。事故が大きな教訓になったことに一つ救いがあった。
今回は富山でも同様の暴行容疑で女性保育士2人が近く書類送検される。これらは氷山の一角なのか。根底には一向に改善されない待遇面での不満もありそうだ。子供政策の充実を掲げ「こども家庭庁」を創設する岸田首相は、少子化に直結する問題としてこんな虐待事件にこそ敏感に反応してほしい。(今村忠)
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