平成国際大・冨士隼斗は今秋の関甲新リーグで4勝1敗の成績を残した(撮影・赤堀宏幸) 12月最初の週末に「150キロ超えの直球」を投げ込む投手が相次いでいた。愛媛・松山市の坊っちゃんスタジアムで行われた侍ジャパン大学日本代表候補強化合宿。期間中最速の155キロでスタンドを沸かせたのは、平成国際大(関甲新)の右腕・冨士隼斗投手(3年、大宮東)だった。
3日の紅白戦。いきなり球場表示で自己最速タイとなる155キロを計測したものの、その後に右のスラッガーとして注目の慶大・広瀬隆太内野手(3年、慶応)に151キロの直球を左中間スタンドに運ばれ頭をかいた。
「一度対戦してみたいバッターだった。やっぱりストレートだけでは、いいバッターには打たれてしまうことがわかりました」
とかく「最速●●キロ」と聞こえてくる投手が全国の舞台で持ち味を発揮できない例が多い中、冨士はマウンドに立った2イニング、22球中、20球の直球で打者に向かった結果、150キロ超のボールを投げるという本来の姿は見せられた。しかし、東京六大学で通算13本塁打をマークしている広瀬に捉えられたことで改めて学んだわけだ。
大宮東高時代の2年冬から本格的な投手としての練習を始め、3年夏に登板がなく、大学に進み、2年秋に関甲新のリーグ戦デビュー。今秋の関東学園大戦の17三振でノーヒットノーランを含む4勝1敗、防御率0・82の成績を残してきただけに吸収力、伸びしろは十分すぎるほどだ。
視察したソフトバンク・福元スカウトは「スピードが魅力。ストレートは147キロ以上の球ばかりで、来年のリーグ戦が楽しみになってきた」と期待を寄せた。181センチ、85キロで160キロ超えの夢も膨らむが、冨士は「直球と変化球の精度を上げるのと、ツーシームを使えるようにしたい」とオフの課題を挙げる。
今秋、同じリーグの白鷗大の左腕・曽谷龍平投手がオリックスのD1位指名されており、来春もスカウトの「関甲新詣で」が盛んになりそうだ。(アマチュア野球班・赤堀宏幸)
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