女子52キロ級で優勝し、メダルを手に笑顔の阿部詩=東京体育館 柔道のグランドスラム(GS)東京大会最終日は4日、東京体育館で男女計8階級が行われ、女子52キロ級で東京五輪金メダルの阿部詩(日体大)が決勝で志々目愛(了徳寺大職)を下して優勝した。10月の世界選手権に続く制覇で全日本柔道連盟の選考基準を満たし、来年5月の同選手権(ドーハ)代表に決まった。
男子は66キロ級で世界選手権2位の丸山城志郎(ミキハウス)が優勝し、60キロ級で近藤隼斗(国士舘大)が2位。100キロ級で東京五輪王者のウルフ・アロン(了徳寺大職)は初戦の2回戦で敗退し、飯田健太郎(旭化成)は準優勝。100キロ超級は太田彪雅(旭化成)が昨年世界一の影浦心(日本中央競馬会)を決勝で破った。
女子は東京五輪覇者で78キロ超級の素根輝(パーク24)が優勝し、78キロ級の浜田尚里(自衛隊)は決勝で高山莉加(三井住友海上)に一本負けした。48キロ級は2年連続世界女王の角田夏実(了徳寺大職)が準決勝で立川莉奈(福岡県警)に敗れて3位となり、世界選手権代表入りは持ち越し。17歳の宮木果乃(東京・修徳高)が制した。
日本でのGS大会は新型コロナウイルス禍で中止が続き、3年ぶりの開催。女子は2017年以来の全階級制覇だった。
◆近藤隼斗の話 「ここで優勝しなかったら意味がない。(決勝は)詰めの甘さが敗因になった。投げられなくて悔しい。負けたが、これを機に次につなげたい。このままではパリ五輪に出られない。ここから全勝する気持ちでパリに近づきたい」
◆鈴木桂治・男子日本代表監督の話 「丸山は研究されている中でも勝ち切り、精神的に強かった。ウルフは練習を積む時間が必要だ。強豪選手が少ない大会のレベルを考えると、全階級で金メダルを取れた。なかなかうまくいかない」
◆増地克之・女子日本代表監督の話 「阿部詩は頼もしかった。本調子でない中でも世界選手権代表を決めて、本当に頭が下がる。今後の成長も期待できる。素根は東京五輪後に膝をけがして苦しんだが、しっかり回復してくれて良かった」
◆金野潤・全日本柔道連盟強化委員長の話 「阿部詩からは柔道界を背負って立つという意志を感じた。期待されながら勝つ難しさに果敢に挑戦し、達成した勇気に心から敬意を表したい。若い力の台頭も非常に感じられ、実りの多い大会になった」
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