女子52キロ級で優勝した阿部詩=東京体育館(撮影・中井誠) 柔道のグランドスラム(GS)東京大会最終日は4日、東京体育館で男女計8階級が行われ、女子52キロ級は東京五輪金メダルの阿部詩(うた、22)=日体大=が2017年大会以来2度目の優勝。10月の世界選手権で優勝した阿部は、来年5月の同選手権(カタール・ドーハ)代表に決まった。女子48キロ級の世界王者、角田夏実(30)=了徳寺大職=は3位に終わり、この日の代表内定を逃した。
延長戦で勝利した阿部は優勝を決め、畳を下りると右手でガッツポーズ。笑顔で大観客に手を振った。
「なかなかコンディションが整わず、厳しい大会だった。なかなか技を決めきれなかった。その中で優勝できたことは地力が上がったんだと思う」
2週間前に右膝を痛め、練習を2日間休んだ。さらに風邪気味で、この日もやや鼻声で取材に応じた。「欠場も考えたけど、ここで立ち止まるわけにはいかない」と強行出場。初戦の2回戦と準々決勝を寝技で一本勝ちすると、準決勝は指導数2-3で反則勝ちした。
女子52キロ級決勝で攻める阿部詩(右)=東京体育館(中井誠撮影)2017、21年世界選手権優勝の志々目愛(28)=了徳寺大職=との決勝ではなかなか技が出せず、志々目の得意技である内股をしのぐ展開だった。指導数1-2で延長戦に突入。「指導を狙いにいく方を意識してしまった」と反省し、延長戦では足技や担ぎ技を積極的に出し、志々目への3つ目の指導を引き出した。
前面に阿部の似顔絵がキャラクターっぽく描かれ、「全力応援」と書かれたオリジナルTシャツを大会前に50枚作製。関係者らに配った。今後の大会に向けた調整を考慮し、今大会を欠場した東京五輪男子66キロ級覇者で、兄の一二三(25)=パーク24=も全力応援Tシャツを着て会場で応援した。
志々目は「技のレパートリーが増えていた」と阿部の成長を実感。阿部は「五輪前よりさらに進化していると思う。まずはドーハで優勝して、パリ五輪で連覇したい」。2024年のパリ五輪での2連覇へ、阿部の「1強」時代は続く。
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