■12月4日 今季4位に終わった楽天が本拠地名称を変更した。今回は「楽天生命パーク宮城」から「楽天モバイルパーク宮城」。球団が誕生した2005年、かつてロッテがホームとした宮城球場を「フルキャストスタジアム宮城」と改めた。これで7度目の改名だ。
「クリネックス」「日本製紙クリネックス」「楽天Koboスタジアム」に「Koboパーク」。最後に宮城の2文字が入る球場名の変遷を正確に覚えているファンはいるだろうか。ネーミングライツ契約による〝表札替え〟も最初の戸惑いは時が解決する。ナゴヤドームの「バンテリン-」もやっと慣れてきた。
ただ楽天のように、ここまで重なると落ち着かない。フルスタ、Kスタがあり、コボスタとも呼ばれた。日本一に輝いた13年は〝日本製紙時代〟。球場名が頭に入ってこない状況が続く中、新たな名称になった。
子供の頃、プロ野球に関する本をよく読んだ。その過程で1930年代後半、巨人などで活躍し、通算303勝のヴィクトル・スタルヒン投手を知った。戦時中に改名を余儀なくされ、「須田博」と名乗った事実にかなりの衝撃を受けた。本人は複雑な思いだったと察する。改名を機にブレークした例は確かにある。選手と球場名を単純比較できないが、楽天のケースは覚えたと思ったら…の〝イタチごっこ〟だ。
東京ドーム、神宮に甲子園。私の母は所在地から大阪球場を「ナンバ球場」と言い続けていた。これも歴史があるからこそ。契約期間は3年。「楽天モバイル」の名は広まる。宮城県もそれなりに潤うだろうが、スタジアムの価値は比例しない。球界を代表する趣向を凝らしたボールパークに〝伝統と時間〟を与えてほしいと願う。(稲見誠)
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